温泉旅行(中編/最終日)
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いるはずのない個人情報まで言いのけた、小学6年生に返す言葉も無いのか、渡里は力が抜けて、腰を抜かしたのか尻餅をついて暫くの間動けないでいた。
当時中央小学校では、渡里知というのは特に優れた面もなく、元気すぎる小学生として有名であったが、恋也ほど有名ではなかった。
『……やる気、なくしたから帰る』
恋也は素っ気無く呟いて、ランドセルを背負い、教室を後にする。
**
10年後 兄貴とは反対側にて
多分、そうなんだろう。
何となく見たことのある奴が目に入った。
茶髪で目つきが悪いアイツはアイツでしかない。
きっと、小学生の時、話したとは言えないが、掴みかかってきた「渡里知」だろう。
ゴーグルをつけて、海に潜っているのを見るのは初めてだが、あまり得意そうに見えなかった水泳が今では、プロ並に上達しているように見えるのは、会っていない期間が長いからだ。
それ以外に理由がない。
波が岩に当たり、辺りを少し濡らしているのを繰り返しては、波は再びやってくる。
その岩に登って見ると、海が少し遠くまで見えて少しだけ良い気分になれた。
アイツが声を掛けてくるまでは。
「おい!! 危ないから下りろ!!」
そんなに高くもないのに大袈裟だと思っていたら、急に風が吹いた。
――あぁ、なるほど。
返事などしたくはないので、無言でその岩から砂場へと飛び下りる。
その瞬間、海から上がってきたのだろう渡里が俺の方にやって来て、目の前で立ち止まる。
「危ないだろ! あそこは急な風や波で人や動物が亡くなりやすいんだ! だからむやみに上るな!」
この辺りに住みだしたのか、何てどうでも良いことなど聞く気にはなれないので、適当に頷いていれば、俺が恋也だという事に気が付いたのか「お前、六条道恋也だよな!? 小学校の時、一緒のクラスだった……」と首を傾げながら言われたので、適当に返事をするわけにもいかず、頷く。
「久しぶり!! 懐かしいな……。どうした? この辺りは何もないから案内する所もないけど、何か用か?」
「……ただの付き添いだ」
へぇ……なんて、興味深く頷いてはいるけれど、早く去ってしまいたい。
俺が渡里を苦手と言うより、嫌いと思うのは小学生の頃のことが一番原因だろう。
あの頃俺は大分ひねくれ者で、歪んでいた。
今はまだマシにはなっていると思いたい。
証明する方法なんて、探すのも面倒だが。
「まさか恋也と再会できるとは思ってなかったな……。いやぁ……恋也あんま変わってないな」
「うるさいな」
「そこまで毛嫌いするなよ……。俺も後悔してんだからさ」
何を後悔しているんだろうか、そんなこと聞く意味すら無意味だと思えてくるのは自分が経験した事に意味があるかもしれない。
正直あま
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