温泉旅行(中編/最終日)
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……。
「そうか」
変に返答せず、そのまま、頷いた。
きっとお前は、誰からも相手にされなかった事が、寂しかったんだろう。
特に会話もないまま、お互い全く別の方向に歩いていって、数十分が経つ。
俺は近くにあった石の階段に腰を掛けて、海を眺めていた。
**
10年前 教室にて
『なぁ、このクラスで【修学旅行に行ってないヤツ】は1人で掃除な!』
『それって私も……?』
『お前は仕方ないだろ。インフルエンザだったんだから』
『……って事は……』
『恋也1人で頑張れよー』
小さい子供の声と共に、1人の少年に掃除で使う道具が置かれる。
否、置かれるというより、放り投げられる。
派手な服装をあまり好まない少年――恋也は、他の生徒からしてみれば「地味」で「気持ち悪い」だけでなく、「化物」と言う。
恋也本人は雑巾を投げつけられても、塵取りを投げられても、表情を変える事はなかった。
小学6年生の恋也にとって、人間自体が興味がなく、ただの道具でしかない、なんて小学生は絶対に考えないであろう事ばかり考えていた。
自分が興味を示さなければ、誰も変に近付いてこない。
自分が口を開かなければ、家族に迷惑がかからない。
難しく言えば、繕っている。
逆に簡単に言ってしまえば「人間不信」。
そんな浮世離れした事を思いながら、掃除道具を手に取り、溜息も舌を打つこともなく、ただ掃除をするだけ。
そんな姿を誰一人「可哀想」と声を発する者は居なかった。
『つかさー……、友達居ないヤツが修学旅行に来ても邪魔なだけだよなぁ』
茶髪の少年が頭の後ろで手を組みながら、後ろにいる三つ編みの少女に声をかける。
少女は気にする様子もないのか、本を読みながら『馬鹿言ってる暇あるなら、家に帰って勉強しなさいよ。私立の中学校行くんでしょ?まぁ、今の貴方には無理ね』淡々と、棘のある言葉を発しては、読み終わった本を閉じ、ランドセルに本を仕舞い、恋也の元に行き『先に帰ってるわよ』と一言発し、その場を去っていった。
無論、三つ編みの少女――六条道彩に激怒する小年の表情は、優秀な生徒に散々言われたせいなのか、半泣きになっていた。
『お前の妹どうにかしろ! 誰に対してあんな事……!!』
茶髪の少年は恋也の服を掴んで上記を口にすれば、今にも殴りそうな勢いで利き手の右手を引いていた。
『中央小学校6年A組。出席番号34番。血液型O型Rh+。魚座、3月4日生まれ、身長145cm、体重45kg、右目の視力0.3、左目の視力0.4。利き手右手、得意科目算数。苦手科目国語。好きな食べ物美味い物。嫌いな食べ物不味いもの。将来の夢、紳士になる、の渡里知に対してだけど』
と、小学生にして、長文を言い、知って
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