第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
29.Jury・Night:『Ath nGabla』 U
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事であった。そしてルーンの解除……否、『破戒』も、当麻の“幻想殺し”を持ってすれば容易い話だ。
「多分、次で最後なんだよ……後は、何処だろ」
「他にソイツが何かした可能性があるところは、もう無いか?」
「う〜ん……もし、扉の外側とかだったら見てないからわからないんだよ」
「やめようか、挫けそうになるから」
鉄製の扉でそれをやられては、当麻にはどうしようもない。如何に“幻想を殺す右手”でも、実在の鋼鉄には無意味。
最後で足止めを食らい、辺りを見回した当麻。だが、闇雲に探しても見付かりはしない。目の前でウンウン唸っている修道女の横顔、胸くらいまでしかない身長の。
彼は一つ、溜め息を溢して口癖を。母校では代名詞として、『三馬鹿トリオ』の残り二人から誂われる言葉を。
「不幸だ……」
「ひゃっ?! も〜、とうま! 耳に息吹き掛けたらくすぐったいんだよ!」
「あ、悪い悪い……ん?」
その溜め息に耳朶を撫でられて、耳と顔を真っ赤にして振り向いたインデックスの修道帽が揺れた。揺れて────修道帽の後ろ、長く垂れた部分の裏側に。頭を撫でた時に仕込んだのか、うなじ付近に、周到にも白い面を見せてカモフラージュされた最後の一枚が見付かる。
「見付けた……インデックス、動くな」
「え……あ、あの、とうま?」
しゃがみこんで視線の高さを合わせると、非難めいた表情をしていたインデックスの両肩を掴んでを向き直らせる。いきなりの事に修道女は顔どころか、首輪を思わせるチョーカーを嵌めた首筋までもを朱に染めて。
その首筋に、当麻は右手を────“幻想殺し”を伸ばして。
『─────“我に触れぬ”』
「な─────!?」
『起こしてはならないもの』を、起こしてしまう──────…………
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