第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
29.Jury・Night:『Ath nGabla』 U
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》人だ、後、何回死線を越え続けられるのか。
握り締める長谷部の柄。ギリ、と強化された握力に軋んで。最初から決めていたハラを、早める事として。
「余り時間も掛けていられません、時間が近い────“唯閃”を使います」
「解った……援護は任せておいてくれ」
決めて、納刀と共に足の乱れを直そうと動いた刹那、火織が疾駆した。ただ、無造作に前に飛び出すように。
《──甘い!》
構えを変える隙を突かれても尚、焦りもなく長谷部と宗易正宗を戻しつつ腰を深く沈める。どのみち、不退転。ならば迎え撃つ以外に選択肢は無いのだから。
得意とする、合気の構え。少なくともそれで火織を無力化できれば、勝率は跳ね上がる────
「────そちらが」
《なッ────》
その右手の先で、火織が消えた。否、しゃがみこんだだけだ。問題は、それに合わせてステイルが投げた『何か』が迫っていた事。
迷わず、右手で払う。何であれ、それしかない。
喩えそれが、火織とステイルの仕込んだ陥穽でも。
払われた『何か』は抵抗もなく空中で砕け、火織がスライディングで嚆矢の股下を潜り抜けた後には、僅かな床面に散らばった────ルーンカードが残るのみ。
そしてそれは、ステイルの切り札たる魔術の前準備に他ならず。
「“世界を構築する五大元素の一つ────偉大なる始まりの炎よ。その名は炎、その役は剣。顕現せよ! 我が身を喰らいて力と為せ─────”ッ!!!」
《チィッ!!》
《ぬ、これはヤバイのう……》
立ち上がる“魔女狩りの王”、辺りの気温が一気に上昇する。異端狩りの焔の巨人が、獰猛な両腕を広げる。
前には焔の巨人を従えたステイル、背後には七天七刀を腰溜めに構えた火織。形勢は完全に、ステイルと火織の有利に傾いた。
「「終わりだ!」」
鋭く発した、声を一つに。ステイルと火織は嚆矢を挟み撃ち、必殺を振るう────!
………………
…………
……
霞む視界の中、女は告げた。矢鱈と長い刀を携えた、黒髪の女の後ろ姿……昏倒する前に見た、神裂火織の背中は。
『後、三日。三日でインデックスの■■は────』
「────っ!!」
その微睡みから、上条当麻は瞼を開く。やはり霞んだ視界は、随分と久し振りの光の刺激に視覚が混乱しているからか。
「……とうま? 起きたの?」
光に慣れ始めた目に、此方を覗き込んでいる少女が映る。青みがかった銀髪
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