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我が剣は愛する者の為に
修行編 その三
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「君の顔にも身体にも結構深い傷ができている。
 医者じゃないから詳しくは分からないが、その傷を放っておけば一生モノになりそうな傷くらいわかる。
 俺も修行中の身だからね。
 傷の事くらいなら少しわかる。」

「自分には関係ない事です。
 強くなれるのならこの程度の傷など。」

「今は良いかもしれない。
 けど、後になってどうして止めておけばよかった、なんて後悔しても遅いんだぞ。
 確かに強くなるには修行が一番だ。
 でも、それで君の身体が傷付いては意味がないだろう。」

「・・・・・・」

「何より君は女の子だ。
 それも可愛い女の子だ。
 そんな子の身体に傷がついたら勿体ないだろう。」

「なっ!?」

俺の言葉を聞いて少女は顔を赤くする。
まだ幼いが、この子は可愛い。
将来はべっぴんさんになる事は間違いなかった。
だからこそ、自分の身体くらい気をつけてほしい。
しかし、少女は俺の言葉をどう捉えたのか。
2メートルくらい距離を開ける。

「「・・・・・・」」

二人の間に沈黙が続く。
汗で濡れた服が透けて胸元が見えそうになる事に気がついた少女は両手で胸を隠す。
その反応を見て分かった。
ああ、俺は変態だと思われているのか。
一応言っておくがロリコンではないぞ。
愛紗は、うん、まぁ、例外だ。
何事にも例外はある。

「一つ訂正しておくが、君の身体が目的とかそういう事じゃない。」

「私は何も言っていませんが?」

「お前がそう言いたげな視線をしていただろうが!!
 ともかく、近くに川はないか?」

「それならすぐそこに。」

「よし行くぞ。」

「えっ?・・・・わわわっ!?」

呆けた顔をしている少女の手を掴んで、強引に近くの川に向かう。
後ろから私の身体を狙って!?、というツッコみたくなる言葉が幾つか飛んできたが無視する。
少女の言うとおり川は近くだった。
持ってきていた手ぬぐいを川に浸して、水を搾り取る。
濡れた手ぬぐいを少女の顔の傷に当てる。

「いたっ!」

傷に沁みたのか痛そうな顔をする。

「女の子なんだから身体を大事にしろ。
 ほら、これで身体の傷を拭け。」

「貴方が勝手に拭いてくるのかと思いましたが。」

「お前はどうしても俺を変態扱いにしたいんだな!!」

乱暴に手ぬぐいを渡す。
一応、背を向けて川の水を飲む。
後ろから小さく笑う声がした。
ゴソゴソ、と服が擦れ合う音がするがいらぬ妄想をしないように冷えた川の水に顔をつける。
刺さるような冷たさが顔を襲う。
川から顔を離すと、後ろから手ぬぐいを渡される。
どうやら身体を拭き終ったようだ。
俺は手で濡れた手ぬぐいを川に浸して水を搾り取り、顔
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