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我が剣は愛する者の為に
修行編 その三
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れがない。
あくなき向上心がさらに強さに磨きをかけている。

(本当に将来が楽しみだ。)

今日は魚でもするか、と考えながら森の中を散策する。









師匠に走ってこいと言われて、全力疾走している俺。
適当に走っているので来た道を引き返しても迷うだけだと思う。
まぁ、ある程度走ってから考えよう、と適当に考えながら走る。
最初の方は森の中で走っても、整備されていない獣道、生い茂る木や草むらなどが邪魔をしてすぐに疲れを感じた。
それも回数を重ねれば慣れていき、今では全力疾走も長い時間続ける事ができる。
眼も良くなったのか、周りの状況などをしっかりと捉える事ができる。
適当に走って2時間が経っただろうか。
さすがに息が切れてきて喉が渇いてきた。
冬になったが修行しているとすぐに身体は暖まり、汗で服がびしょびしょになる。
肌に吸い付いた服の感触が少し気持ち悪い。
ともかく、どこかに川とかないかな、と周りを見渡した所だった。
ドン!、という鈍い音が聞こえた。

「?」

首を傾げながら音のする方に向かう。
少し走ると、そこには一人の少女が鋼鉄の手甲をつけた銀髪の少女が大きな木に向かって拳を打ち付けていた。
何度も打ち付けた痕がその木にはあった。
しかし、俺はその少女を見て思った。

(身体中が傷だらけだ。
 おそらくオーバーワークな修行をしているんだな。)

かく言う俺も人の事はあまり言えた義理ではない。
だが、本当に危険な時は師匠が止めてくれる。
しっかりとしたストッパーが俺の傍にいるから大丈夫だが、この子にはそれが見当たらない。

(このままじゃあまずいな。)

修行しているとはいえ女の子だ。
自分の身体に一生モノの傷ができれば気にしてしまうだろう。
よし、と言って俺は後ろから話しかける。

「おい、そこの君。」

「うん?
 何か用ですか?」

手を止めてこちらに振り返る。
顔の方にも傷ができていた。
このまま放置すれば痕が残るかもしれないほどの傷だった。
修行の邪魔をされて迷惑そうな顔をしている少女に俺は言う。

「その修行だけど、あんまり良さそうに思えない。」

「いきなり出てきたと思ったら、自分の修行内容に口出しをするのですか。
 余計なお世話です。」

そう言って木の方に向き直り、構えをとり木を殴る。
こりゃ、頑固だな。
そう思って横から手を出して、木を殴ろうとする手を受け止める。

「邪魔をしないでください。」

「いいや、邪魔させてもらう。
 自分の身体をよく見て見ろ。」

俺の言葉を聞いて自分の身体を見つめる。
しかし、首を傾げるだけだった。
どうやら俺の言いたい事が分かっていないらしい。

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