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Sword and magic of fantasy
Prologue
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を持つ(けん)を片手で持ちあげ、(つるぎ)は再び大きくため息をついた。

耳を澄ませると大地を揺るがす音以外に声が聞こえる。


『Gyrrr…』
獰猛でどこか邪悪なうめき声…

(つるぎ)は眉をピクッと嫌そうにあげて、三度めのため息を吐いた。




「めんどくせぇ…」



(つるぎ)は頭をボリボリと掻きながら、右手の大剣(たいけん)を肩に担ぎ上げ鍛冶屋からでた。

鍛冶屋の外に居たのは、爬虫類の鱗に、硬い甲羅を持った巨大な『亀』だった


「あのですね〜、すいませんがうるさいんで黙ってください」
覇気の全くこもっていないやる気のない声で言った。

呻き声の主は、(つるぎ)の言葉が理解できていないらしく、青年を見て、直ぐに巨大な腕を降りおろした。

鍛冶屋の二、三倍はあると思われる。

(つるぎ)(けん)を抜き、降りおろされた腕を側面でガードしてそのまま巨大亀の力を跳ね返した。

…一トンはあろうかという巨大な腕を…


「ちょっと勘弁してくれよ…この鍛冶屋は壊されたくねぇんだよ…」

巨大亀は少し警戒して(つるぎ)から下がった。

「…そのくらい知性があるなら帰ってもらいたいんだがな…」

(つるぎ)は、(けん)を再び担ぐ。


巨大亀は今度は突進をしてきた。
全体重をかければ人間くらい潰せると思ったのだろう。
この亀の全体重は三トン程、普通の人間はまず助からないだろう。


だが、(つるぎ)は、違った。


亀の突進を片手で止めた。

そして(けん)を地面に放して、もう片方の手で下から顔面を殴った。

…この世界において魔法以外で怪物を殺傷する事は不可能なので、ダメージは無いが、たまらず上に跳んだ。


(つるぎ)は、地面の剣を拾って亀に向かって思い切り跳躍した。


亀は甲羅で身を固める

(つるぎ)は、魔法剣をそのまま亀の甲羅に振り下ろした。


魔法剣は散らすことなく、甲羅に(けん)の二トンもの衝撃を与えた。

亀はものすごい勢いで地面に急降下した。

甲羅は空中でばらばらになり亀は自分を防護する手段をなくした。


(つるぎ)は空中で体制をたてなおし、剣身を下に突きつけて重力のままに急降下する。



「死ね」


その短い言葉とともに落ちてきた(けん)は亀の頭を貫いて活動を制止させた。


(つるぎ)は亀に刺さった(けん)を抜いて立ち上がった。



やがて剣身を指でなぞり満足げに言った。


「…これでしばらくは亀鍋でも食うか」




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