王の荒野の王国――木相におけるセルセト――
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には及ばぬ」
ヘブは鷹揚な笑い声で崇拝者に応じた。
「お前は余に非礼を働いたわけではなく、また余と敵対する神を奉じたわけでもないのだからな。よって、お前が火と氷の星に囚われる必要もなく、剣を返上する必要もない」
「しかしながら、私は――」
「ニブレットとして生きろ」
ヘブは崇拝者を遮り、諭すように言った。
「覚えておくがよい、我が崇拝者よ。魂の名は一つだ。その名を知った者だけが、人である事をやめ神になる。万一お前が神となり、我が敵対者となる恐れがあるのなら、余はお前を屠るだろう。だが、お前が、即ちニブレットの名を持つ自我が、その名を知る事はないのだからな」
剣が緋の色彩を纏う。色彩は、天に吸い上げられるように揺らいで消え、同時にヘブの気配も消えた。後には疲れた目をして傅くニブレットが残された。
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