街灯に照らされて
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は、ワインがとても似合う。
(…私と違って、日本酒は飲みませんよね…)
そう思っていると、ふと、そのパッケージをつい最近見たことに気付いた。
(あ、そういえば……ポチ君がおやつ食べていた時、アーサーさんの荷物のそばにこのチーズ置いてありましたよね)
菊は肝心なものを買おうと、ヨーグルトの棚へと移動した。
「あれっ、ない…」
棚にはちょうど、目当てのヨーグルトのスペースだけが空いていた。思わずガクッとうな垂れる。
「よほど、あのヨーグルトに縁がないのか……仕方ない、別のものにしましょう」
そのあと会計をする際、ほかほかの肉まんが目に入った。
(肉まん、ですか……)
「あの、それ2つください」
「申し訳ございません。残り1つしかないんですよ…」
「じゃあ、それを」
菊は肉まんを受け取ると、店をあとにした。
「あ……」
先に店を出たのでてっきり帰ったのだと思っていたアーサーが、壁に寄りかかって菊を待っていた。
「……行くぞ」
そう言うと彼は言い終わる前に歩き出す。菊は小走りにアーサーに追いつくと、そっと隣に並んだ。
「あの……これ、どうぞ」
先ほど買った肉まんの袋を差し出す菊。
「…なんだ?」
アーサーが少し目を見開いて菊を見下ろす。
「良かったら食べてください。肉まんなのですが…」
「…俺にか?」
「はい。お礼です……待っていてくださったので」
少しうつむいて話す菊の顔は、アーサーには見えない。
「すみません。こんなものですけれど」
するとアーサーはスッと顔を逸らす。視線は地面のままでも、気配で分かった。
「…別に、礼が欲しくて…待ってたわけじゃない」
あとの方は声が小さくてよく聞こえなかった。
「……苦手でしたか? 肉まん」
「いや、嫌いじゃないが…」
「そうなんですね」
「ああ、前にも1度食べたことがある。好きだ」
アーサーの口から『好き』という単語が出てきただけで、どきっとなった菊は、おかしくなって笑ってしまった。そんな菊を見て、アーサーは少し心外そうな顔をする。
「急に笑い出すなよ。怖いだろ?」
「ごめんなさい。なんかアーサーさんって、なんでも批判するようなイメージがあったので……って、失礼ですね。私」
「それでも、肉まんは……好きだ」
「じゃあ、こういう時は遠慮しないで、ありがたく受け取っておくものですよ」
菊はレジ袋をやや強引にアーサーに押しつけた。
すると驚いたような顔をしたのち、その顔がフッと笑みを漏らす。
「わかった…お前には敵わないな。ありがたく、受け取っておく」
その笑顔が、いつにも増してとても自
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