街灯に照らされて
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とたんに洗面所でのことが頭に浮かぶ。菊は慌ててその考えを打ち消して靴を履いた。
「どこか出かけるのか?」
「はい。そこのお店にちょっと買い物に行こうと思いまして」
するとアーサーが、フッと微笑む。
(え……?)
「まさか、行き先も一緒とはな」
その笑顔がいつものクールな雰囲気とは違い、少年っぽく感じられる。
(あ……この顔。アーサーさんがここに来た頃、最初に見せてくれたあの表情みたい……)
瞬間、胸がどきっとなる。
作った笑顔ではなく、自然に笑った感じが少しだけ親近感を覚える。
「どうかした?」
覗き込むように尋ねられ、菊は慌ててアーサーから距離をとった。
「な、なんでもないです…」
(もう……そんなに近くに顔を寄せられたら、さっきのこと嫌でも思い出してしまいますよ……)
私が目を逸らすとクスッと笑われる。
「……また、からかわれたいとか?」
「えっ」
(ということは、やっぱりあの時、からかわれていたんですね)
カアッと顔が熱くなったので、菊はそれを見られないように先に玄関を出た。
「は、はやく、行きましょう!」
言いながら先に行くけれど、きっとアーサーは後ろで笑っているのだと、菊はなぜかそう思った。
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お店につくと、菊は雑誌のコーナーへと足を運んだ。
(さすがにここは、同人誌置いていませんよね……)
つい、同じ職種のフランシスの新刊のことが気になって、棚をザっと確かめる。が、やはりコンビニ。そんなものを置いているはずもなかった。
おつまみの棚にいるアーサーをちらっと盗み見た菊。
こうしてみると、確かに人目を引くルックスだ。
(からかったりしなければ……格好良いのですが)
「……どうかしたのか?」
「い、いえ…」
また飲むんですか、という言葉はあえて言わなかったが、顔に出ていないだろうかと菊は心配になった。
「…そのチーズ、前にも買っていましたよね?」
誤魔化すように言うと、目を細められた。
「よく覚えてるな」
アーサーは答えながら、同じものをいくつかカゴの中に入れていく。
(いえ、あなたの記憶が飛んでいるのだと思いますが…さすがにああ、トラウマを植え付けられては忘れようにも…)
「ワインのつまみにな。まぁ、全部俺が食べるわけじゃないけど…」
「そ、そうなんですね…」
(アーサーさん…今日も付き合わされますね…ああ)
いくら酒癖が悪いとはいえ、なにをしていても育ちの良さが出るように感じるアーサーに
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