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美しき異形達
第三十六話 古都においてその十一
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「テレビとかで観たことはあるけれどさ」
「行ったことは、なのね」
「一回行ってみたいな、ハワイにも」
「そうよね」
「暑くて海が奇麗でな」
「サーフィンとかが出来てね」
「そうそう、神奈川ってサーファーが多いんだよ」
「湘南とか有名よね」
「夏に海岸行ったら一杯いるよ」
 そのサーファーがというのだ。
「それこそな」
「サーファーの人も」
「そうだよ、まあ京都にはサーファーはいないか」
「舞鶴ならわからないけれど」
 ここで菖蒲はこの場所を話に出して薊に言った。
「京都市はないわね」
「海ないからな」
「川はあるけれど」
「鴨川か」
「そうした場所はないから」
「山や街で出来るものじゃないからな」
 薊はジョークも含めて菖蒲に応える、サーフィンは水それも波がなければ出来ない、このことは絶対のことだ。
「だからな」
「そう、京都にいれば山登りになるわ」
「山は多いな、確かに」
 薊は今目の前にある嵐山の山を見た、深い緑の木々に覆われた山は夏の嵐山を飾りそれと共にその暑さを緑で癒している様である。
「京都は」
「その場所によって出来るスポーツがあるから」
「京都じゃ山か」
「それかランニングね」
「京都の街を走るんだな」
「自転車に乗ってもいいわよ」
「京都の街をランニングするのもいいか?」
 薊は菖蒲と話しながらこうも考えた。
「歴史を観つつなんてのもおつか」
「そうね、それも面白いわね」
「三年坂とかも行きたいな」
「三年坂は注意してね」
 向日葵は三年坂を出した薊にこう忠告した。
「あそこでこけたら何かあるって言われてるのよ」
「三年坂でこけたらか」
「三年以内で死ぬとかね」
「おい、それ祟りかよ」
「京都ってそういうお話も多いのよ」
「ああ、古い街だからな」
「幽霊とか妖怪とかね」
 そうした類の話が実際にかなり多い、今昔物語や大鏡等でも京都にある怪異の話が実に多い。
「羅生門もあったし」
「芥川の」
「そう、あそこも鬼が出たから」
「酒呑童子の手下の茨木童子か」
「そうした話もあるから」
「源頼光さんに退治されるんだよな」
「そうなったわね」
 お伽草子にもある話だ、酒呑童子は日本の妖怪達の中でもとりわけ有名かつ強力な存在として知られている。
「あの人他にも鵺退治してるし」
「ああ、鵺も京都に出たな」
「ええ、そうよ」
 向日葵は薊にその鵺のことも答えた。
「あの妖怪も京都だから」
「そうだったよな」
「幽霊の話なんて無茶苦茶多いし」
「日本で一番多いんじゃね?ひょっとして」
「そうかもね、鎌倉も多いわよね」
「ああ、あそこも歴史古いからな」
 薊はかつて自分が住んでいた神奈川のことにも応えた。
「多い筈だぜ」
「そうよ
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