第三十六話 古都においてその十
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「それで何処かに行ったよ」
「まあそうなって当然よね」
「そうしたことしてもクビにならないところもあるみたいだけれどな」
「ううん、奈良県ならね」
裕香はここで自分が住んでいた都道府県を脳裏に浮かべた。
「あるかもね」
「おい、奈良がそれかよ」
「だから。奈良県の先生の世界は酷いのよ」
日教組の影響である、奈良県は日教組の勢力がかなり強い地域の一つなのだ。何故強いかはこの県独特の事情によるものだ。
「それでね」
「先生が生徒を押し倒して見付かってもか」
「クビにならないかもね」
その可能性があるというのだ。
「実際に」
「マジで奈良県やばいな」
「そうなのよ、これが」
「あたし奈良県にいなくてよかったよ」
薊は裕香の話を聞いてしみじみとしてつぶやいた。
「本当にな」
「その面ではっていうのね」
「心からそう思うよ、まあとにかくさ」
「贔屓はよくないわよね」
「誰にもよくないよ」
贔屓される方も除け者にされる方もというのだ。
「あたしはそう思うよ」
「その通りね、本当に」
「いい親御さんだよ、皆の親御さんって」
薊は心からこう言った。
「それに兄弟姉妹だよな」
「そうね、ただね」
「ただ?」
「誰も弟さんはいないわよね」
こう言った裕香だった。
「私もそうだけれど」
「そういえばそうね」
菊は裕香のその言葉に気付いた顔になって頷いた。
「私達って」
「ええ、弟さんいないわよね」
「鈴蘭ちゃんと黒蘭ちゃんもね」
「本当に誰も弟さんいないわね」
「これは偶然だと思うけれど」
「そうね、本当に弟さんはいないわね」
薊達のうちの誰もがだ、そうしたことを話してそしてだった。
一行は映画村から嵐山の観光に移った、夏の嵐山は紅葉ではなく青葉だ、その青葉の中でタレントが経営している店を回り。
人力車を見て川も見た、薊は嵐山を流れる緑と嵐山の観光地の間のその川を見て裕香にしみじみとした口調で言った。
「あたし嵐山もはじめてだけれど」
「気に入ったの?ここも」
「来たかいがあったよ」
明るい笑顔での言葉だった。
「本当にな」
「そうなのね」
「ああ、かなりいいよ」
「旅館もここにあるけれどな」
「いいよな、こんな場所に旅館あるなんて」
「八条グループのね」
ここでも旅館はこのグループの経営するものだった。
「そこよ」
「あのグループ何処にでも旅館あるんだな」
「グループの社員さん達の保養施設でもあるからね」
「その家族の人帯も入れてか」
「そう、だからね」
「あちこちにあるんだな」
「海外にもあるわよ」
日本だけではなく、というのだ。
「ハワイとかにもね」
「ハワイなあ」
「私ハワイ行ったことないけれどね」
「それはあ
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