第三十六話 古都においてその九
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「家族、特にお姉ちゃんがいてくれて有り難いわ」
「義理のお姉さんだよな」
「確かに義理だけれど」
やはり血がつながっていないことが話される。
「それでもね」
「お姉さん大好きなんだな」
「いつも優しくて何でも教えてくれて」
「頼りになるんだな」
「私にとって掛け替えのない人よ」
そこまでの存在だというのだ。
「本当にね」
「そうだよな、だからな」
「血がつながっていなくても」
「家族になれるんだよ」
「私にしてもそうで」
「よく昔話で継子いじめとかあるけれど」
昔話の定番の一つだ、これは日本だけでなく世界中にありシンデレラもこの範疇に入ると言っていいだろう。
「実際そんなことする奴なんて誰にでもするんじゃね?」
「実の子供にも?」
「ああ、一人だけ贔屓してさ」
こう裕香に言うのだった。
「他の子はいじめるとかさ」
「ううん、自分の子供を贔屓すると」
「それで継子いじめるとかする奴はさ」
「自分の子供の間でもそうするのね」
「そういう奴が学校の先生とかなっても同じだよ」
やはり贔屓、いじめをするというのだ。
「えこ贔屓とかするんだよ」
「贔屓は嫌よね」
「贔屓されて甘える奴も馬鹿だけれどさ」
薊はまずは贔屓される方から言及した。
「そいつの為にもよくならないし」
「それで除け者にされるとね」
「すげえ嫌な気分になるだろ」
「そうよね、だからね」
「贔屓はよくないんだよ」
「公平じゃないとね」
「院長さんがいつも言ってたんだよ、自分は贔屓は嫌いだってな」
薊がいた孤児院の院長である、とかく薊達に色々なことを教えていたというのだ。
「実際にあたし達を平等に扱ってくれたよ、他の孤児院の人達もな」
「そうした面でもいい孤児院だったのね」
「そうだよ、ただ小学校で贔屓する先生いたよ」
薊はこのことについては眉を顰めさせて言った。
「嫌な奴だったよ」
「小学校で」
「ああ、クラスの生徒一人だけ贔屓してな」
「他の子は除け者にしてたの」
「そうだったんだよ、男の先生だったけれど」
「誰を贔屓してたの?」
「女の子でな、一人だけな」
贔屓をしていたというのだ、その女生徒を。
「それが酷くてクラスの生徒から嫌われてたよ」
「それは当然よね」
「しかもその贔屓の理由がな」
「何だったの?」
「セクハラしようとしていたんだよ」
「うわ、最悪ね」
裕香は薊の今の話を聞いてその眉を瞬時に顰めさせて言った。
「それが目的だったの」
「それでマジで押し倒そうとしてな」
「自分の生徒を?」
「しかも小学生の娘をさ、二人きりになったところで」
「どうなったの?その娘」
「危ういところで他の先生が見付けて大騒ぎになってさ」
薊は眉をこれ以上はないま
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