第三十一話 真相へ
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よりも分かりやすい。
言峰は、フム……と顎に手を置き、やや思案する素振りを見せる。
そして、数秒後話し始めた。
「――――――まず大前提として、聖杯戦争はこのゲームのルールに従って行われる。つまり、いかにサーヴァントといえど圏内での戦闘行為は不可能だ」
「それなら……!令呪を使えば――――――!」
アスナが声を荒げて言峰に問いを投げる。
確かに、英霊に対する絶対命令権を使えば……あるいは。
だが……
「確かに令呪を使用すれば一時的には圏内戦闘が可能であろう。だが、それは重大なルール違反となり、すぐにこの事が私に報告される。あいにくだが、私にはその様な報告は受けていない」
それに……と言葉を続け
「わざわざ令呪を使用してまでその様な騒ぎを起こすメリットがあるとは、私には考えられないが」
確かにそうだ。
令呪は強力なブーストであり、そう簡単には使えない。
わざわざ、三回限定の令呪を使ってまでする事でもない。
キリトは内心そう考えを巡らせていた。
「―――――――――そう、ですか」
複雑な様子のアスナの声が響いた。
当てが外れた落胆と、サーヴァントの殺人が起きていなかった事に対する安堵の声だ。
だが、これで完全に振り出しに戻った。
「貴重な話が聞けた、ありがとう」
キリトがそう言うと、二人は踵を返して外に出ようとする。
だが、そんな二人を引きとめるかのように、言峰の独り言のような呟きが発せられた。
「彼は本当に死んだのか?」
「……え?」
「ふと気になったのだよ、彼が本当に死んだのかとね」
「なにを……私たちは確かに見たんです!彼が光とともに消えるのを!!」
アスナが声を荒げる。
確かに、キリトもそれに関しては目撃者だ。
否定しようがない。
「だが、それは消えただけだ」
言峰が言葉を続ける。
「だから……っ」
アスナの苛立ったような声が響く。
だが、それにも気にも留めないように言峰は決定的な一言を放った。
「――――――光の粒子を発生させるのは死んだ時だけなのか?」
「……え?」
アスナが絶句する。
沸騰しかけていた脳内が一瞬で冷えていく。
「……」
言峰は無表情なまま二人を見下ろす。
その言葉に対し、キリトは一人考え込むような表情を見せると、すぐその場を後にしようと足を動かした。
「ちょっと…キリト君!?」
それを焦ったようにアスナは彼の背中を追う。
そのまま、無言のまま彼らは外へと出ていく。
キリトは確信に迫ったような表情を見せながら。
アスナは色んな事がありすぎて、何が起きたのか理解できないという表情を作りながら。
それぞれの思いが交叉していった。
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