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立派な魔法使い 偉大な悪魔
第四章 『再会』
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ていた樹霊結界が、ものの見事に両断されたのである。自分たちが必死になっても解けなかった二つの結界が、何ら抵抗なく切り捨てられる光景を見れば、いったい何が起こったのか分からなくても無理はない。
 そしてそれだけではなかった。明日菜の側に、突然造物主が姿を現したのだ。
 それを視認した刹那は一足飛びに距離を縮めた。自分を親友と言ってくれる明日菜を、無二の友を造物主の手に渡すわけにはいかない。
 刹那の太刀である夕凪に雷が走る。神鳴流の剣技の一つである、雷光を伴った斬撃――雷光剣を、刹那は造物主の正面へと切り付けた。そしてほぼ同時に造物主の背後からも、雷光が走った。
 造物主の動きを察知した詠春とクルトが、同様に止めに入ったのである。さらに近衛右門の掌底やタカミチの無音拳、アルの重力魔法も造物主を襲った。龍宮 はバレットM82を取り出し、魔力を弾丸へ篭めていた。そして衝撃といえる程の反動とともに、魔力の光が混じったマズルフラッシュが立て続けに噴き出し、 弾丸が打ち出された。
 まさに怒涛の攻撃。その破壊力は、造物主の結界を一度破壊したネギの四方からの障壁突破技と『千雷招来』の猛攻に迫るものだ。これなら、造物主の結界を突破してもおかしくはないはずだった。だが、障壁を破壊するどころか、攻撃は全て障壁に阻まれてしまった。造物主の障壁は、さらに堅牢さを増していたのである。

「硬い! ならば……『来れ(アデアット)』!」

 障壁に弾かれ、距離をとった刹那が悪態をつきつつ、木乃香との仮契約で得たアーティファクト『建御雷』を呼び出した。すると古い石剣が刹那の手に現れる。

「お嬢様、お願いします!」

 刹那の声に、木乃香は『建御雷』へ魔力を充填し始めた。すると、それまで石の剣であった『建御雷』が巨大化し、雷のように光る刀身が現れた。

「アスナさんは絶対に渡さない!」

 そして右手に夕凪、左手に『建御雷』を持った刹那は、再び造物主へ駆け出した。

 一方、エヴァンジェリンは瞬動でバージルを間合いに捉えていた。
 先程の『終わりなく白き九天』を斬った斬撃を見た限り、剣速は詠春よりも速かった。神鳴流の現当主である詠春の剣は、他とは一線を画す。その詠春よりも 速い剣速となれば、まさに神速。エヴァンジェリンと言えどもそれなりに厄介だろう。そのため、再びその神速の剣を出されるよりも前に、瞬動により先手を 打ったのだ。
 エヴァンジェリンが瞬動の惰性のままに閻魔刀の柄尻を押さえた。刀を抜けないようにするためだ。そしてバージルの頭部へ、首を容易に刈り取ってしまうような威力の蹴りを繰り出した。対してバージルは、右腕を振りかざしただけだった。
 そしてエヴァンジェリンの蹴撃が、バージルの右腕へ直撃した。その瞬間、腕とは到底思えない程の硬質な感触
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