第08話 昇天のサバキ
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「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
彼はしばらく黙ったまま砕けた床を見ていた。
そして、意識を取り戻したかのようにゆっくりと顔を上げた。
「セキレイお兄ちゃんッ!!」
ガバッ!
ハトはセキレイに思いっきり抱きついた。
ジョンとカツコも彼らの元に駆け寄った。
「良かった‥‥‥‥‥お兄ちゃんが無事で‥‥‥‥‥‥」
ハトは泣きながらそう言った。
「サバキには勝ったんだな!?」
「さっきの爆発は一体何だったの!?」
ジョンやカツコが口々に質問を投げかけるが
セキレイの反応はあまりよくはなかった。
**********
セキレイはサバキとの戦いの内容をできる限り鮮明に伝えた。
ハトやジョンは少しうつむいてそれを聞いていた。
「‥‥‥‥そう、そんなことがあったのね‥‥‥‥‥‥」
カツコはそう一言つぶやいた。
「だがセキレイ。手榴弾は主に爆発よりも
その時に飛散した欠片で相手を殺傷するのが目的の武器だ。
だが、あの威力は地雷並のモノだったんだが―――――――」
「“粉塵爆発”よ」
ジョンの言葉を遮りカツコは言った。
「その“ふんじんばくはつ”っていうのは何なの?」
ハトはカツコに訊いた。
カツコはその問いにすぐに答えた。
「可燃性のチリや粉が舞った状態で火花が引火すると爆発するっていう現象よ。
しかも、その火の元が手榴弾だったなら威力は相当のものよ
この場合は、彼の鱗粉を引火させたようね。」
サバキが突然、毒の鱗粉を撒いた理由がこれで分かった。
だが、セキレイは表情を全く変えなかった。
「‥‥‥‥‥‥なぁ、おばちゃん」
セキレイはカツコに言った。
「‥‥‥‥何?セキレイちゃん」
彼は最初は口を閉じていた。
だが、覚悟したのか口を開いて訊いた。
「サバキには家族はいたのか?」
それを聞いたカツコは一瞬、目を逸らした。
しかし、すぐに目を戻して答えた。
「‥‥‥えぇ、いたわ。確か妹が一人
彼女は実験の途中で亡くなったけど‥‥‥‥‥」
セキレイは最後にサバキが言った一言を覚えていた。
すぐ行くからな‥‥‥‥‥エリー‥‥‥‥――――――――――――
あれは妹に対する一言だったのだ。
これで、サバキの行動の意味が完全に受け取れた。
「サバキは死んだ妹に会うために死を選んだのか‥‥‥‥‥」
“自由”は生きている間に持っているものではない。
死んで初めて“自由”を得ることが出来る者だっているのだ。
死ななければ得られない“自由”もあるのだ。
この不自由な監獄に入れられた時から、ここにいる全員が自由を失っている。
軍人たちも、サ
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