第08話 昇天のサバキ
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「チィッ、クソがッ!!」
ビンッ! ビンビンッ!
何度も仕掛けていた糸を張っているが無駄だった。
セキレイはコツを掴んだのか全ての罠を無理なく突破した。
そして、思いっきり拳を握りしめた。
「ドラアァァァアッ!!」
バキッ!
「ぐあっ!」
セキレイはサバキに向かってパンチを放った。
拳は腹に入り、彼はそのまま壁まで弾き飛ばされた。
強く打ち付けられたゆえに、壁にもたれてグッタリとしていた。
「‥‥‥‥‥‥サバキ、強ぇなアンタ」
変身を解いたセキレイは思わずつぶやいた。
「‥‥‥‥ハッ、お前に一泡吹かせることぐらいしか出来なかった俺が?」
サバキは笑いながらつぶやいた。
毒の鱗粉、糸の戦術、そして″超技術″。
彼は決して弱くはなかった。しかし、強くもなかった。
「はーーーぁあ、もう疲れた。セキレイ、さっさと俺を殺せよ」
サバキはため息まじりに言った。
彼の目にはその覚悟があった。
いや、むしろ死を望んでいるように見えた。
「‥‥‥‥‥死んでも良いことなんてない」
セキレイはこう返答した。
サバキはそれを聞いて鼻で笑った。
「でも悪いこともないぜ?死ってのはすなわち″無″だからな」
何故、サバキが死にたがっているのかがわからなかった。
奪われた“自由”を取り戻すために生き続けるセキレイ。
彼とサバキは、まるで反対の存在だった。
「俺を殺せ。でないと、またお前にしぶとく付きまとうぜ?」
それならそれでいい、そうセキレイは思った。
人の命を、人の“自由”を奪うことは、彼にはできなかった。
生とはすなわち自由、死とはすなわち‥‥‥‥‥その自由を失う時だった。
「‥‥‥‥‥‥ふざけんなよ、テメェ」
サバキの顔に青筋が立った。
足をふらつかせながらも立ち上がり、セキレイの胸ぐらを掴んだ。
「綺麗事が全部通るような世の中じゃねぇんだよッ!!
分かってんのかテメェ!!あぁんッ!?」
そう言うと、掴んでいた手を離して再び壁にもたれかかった。
息を切らして、血を吐きながら腹を押さえていた。
「グフッ!‥‥‥‥ハァ、ハァ‥‥‥まぁ、いいさ」
そうつぶやくとサバキは何かを取り出した。
バサァッ‥‥‥‥
そして、軽く羽ばたいた。毒の鱗粉が霧のように濃く舞った。
「まだやる気か‥‥‥‥?」
「安心しろ、もうお前に危害を加えるつもりはねぇ
それに、そっちは風上だ」
彼の言うことは、どちらも本当だった。
僅かながらにセキレイの後ろから風が吹いていた。
この状態なら彼が毒の鱗粉の影響を受けることはないだろう。
「できたらお前に殺って欲しかったんだがな‥‥‥‥‥仕方
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