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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第19話 回禄
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女に光差す未来(あす)があるように。
 呪いも穢れも毒も罪もあらゆるものを俺が引き受ける。

 改めてこの存在を鬼となし、武威を以て仇名す全てを屠る。
 自分自身を鬼と、屑としても―――たった一つ、武士の矜持だけは捨てぬと決めた。

 そして、バビロン災害。塩の大地、食糧難に端を発する4つの国だけになってしまった国際紛争……何処かで己が力尽き、朽ちるのは不可避だと悟っていた。
 それでも、それでも―――それが悪意の元、人の意志で死ぬのなら、志が受け継がれるのなら未だ納得出来た。

 それが……あんな破壊し踏み躙る事しかできぬ薄汚い塵芥風情に、愛しきものを守るべきものを、全てを蹂躙され咀嚼された結末なんぞ――――許さない、認めない、消えてなるものかっ!


 脳髄だけにされ、五感全てを失った程度でこの憎悪も狂気も消えはしない。
 死に逃げる事は元より狂う事すらオレには赦せない―――己の無力が何より赦せないから。

 赦せないのだッ!!!この恨みを晴らし、誓いを果たすには――――もう、それしかない。
 そうで無ければ、この世界の時間は永劫に巻き戻され続ける。

 流れを変えなくてはいけない……だけど、同じ事を同じまま繰り返し続けたところで結果は変わらない。多少の変動はあろうとも結末は変わらない。
 無限の可能性なんて幻想だ……今のままでは人類は滅びの運命を何度も歩まされ続ける。

 運命なんぞに舐めらされる敗北ほど耐え難い屈辱もない。
 虐げられ、踏み潰され、敗北者として生まれ、敗北者として死に続ける。

 そんな運命、認めてなるものかぁッ!!こんな茶番を繰り返させて良いものかッ!!

 永劫に勝つためにこれから先、ここでの"選択"が真に意味あるものであったと思えるように、いつかまたこの無限に続く環を壊せるように――次の己に託す。

 己の願いは己の力で完遂せよ――――足掻け命の最後の一片が燃え尽きるまで!!


 これは、無力だった俺が無力な俺に掛ける――――呪いだ。








「―――我らながら悪趣味だな。」

 不意に目が覚める、どうやらこの輪廻の“記録”は彼女の笑顔を守りたい。という守るものが欲しいという渇望が満たされたとき継承、あるいは甦るように設定されているらしい。
 恐らく、共感を引き金にして撃鉄としているのだろう。

 その記録とも言うべき記憶は、己にとって、過去とは失われてゆくだけの滅びの世界の物語の残滓に過ぎない。
 だけど、今迄に逝った俺達が己に訴える――――今度こそ、今度こそ守りぬけと。
 声亡き声で、嘆きとも憤怒ともつかぬ慟哭で。

 あの黄泉平坂で見た屍たちと同じように……なまじ同じ人物で、今は強く共感している分より強烈で、鮮烈に、
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