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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第19話 回禄
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どうしてか強く惹かれ魅せられる。


 人なんてモノは、そう良いものではない。人道だ平等だのなんだの言いつくろっては他者よりも楽に、そして怠惰に過ごそうとする。
 自らの自己満足のためだけに独善を謳い、その結果に関しては見て見ぬふり。無辜の人々が故郷を追われようが、BETAに幼子が食い殺されようがだ。

 そうやって、自分で自分を守る爪牙を切り落とし、自分で自分の住む国を腐敗へと導いていく。
 革命は何時もインテリが始める、現実を見ない妄想家どもが美辞成句を歌い上げ、それに賛同する思慮なき白痴な愚衆が多くの人々の生活を破滅させ、内乱を誘発し、戦争を招く。―――それは簡単に言ってしまえば国を一個体の生命体とみなした場合、一種の癌だ。


 歴史なんてのは大抵その繰り返しだ。だから人類の本質は旧石器時代から一歩たりとも進歩していない。

 上辺だけの理想を(あげつら)った人道こそが最も人を多く殺したと言ってもいい。どんなお為ごかしで着飾っても、世界の真理なんてのは弱肉強食。
 この世の不利益は当人の能力不足に起因する。それ以外あり得ないのだ。

 ならば、上辺だけの感情なんて殺し己を唯一振りの兇刃へと窶し、本当に守るべきものを守るために鬼となる事こそ、真に人道と呼べるだろう。
 それ以外の、守るべきものが傷ついても意地だけ押し通すなんぞ、ただの独り善がりだ。外道の所業でしかない。

 故に、己に悲傷を投げかける者どもさえも守るという、祐唯中佐も唯依も俺にとっては夢見がちな箱入りに過ぎない。脳に蛆が湧いて腐って溶けたと本気で思っていたくらいだ。
 牙向くものには、威を以て滅尽滅相する。それ以外に道は無い―――失ってからでは遅いのだ。

 力だけが力を止める唯一絶対の術、威を翳し相手が竦んだのなら流血は零だ。それこそ真に彼我のためだ。

 それでも、惹かれ魅せられる。その夢どころか妄想に過ぎない理念に。
 成功には破滅を、戦場では栄誉と死を、刃物を持てば自身の傷を、高所に立てば墜落を
 人は忌避しながらもそう云った正反対の物に固執する―――或いは求めているのかもしれない。

 それが自滅の願望なのか、それともまだ見ぬ可能性を求めているのか。俺自身にも分からなかった―――。今でも解答(こたえ)は分からない。


 そして――幾つもの戦場を駆け、相容れ無いながらも互いを認めていった先に恋に落ちた。彼女の心からの微笑み、それを守りたいと感じた。

 彼女は優しすぎるから―――それは彼女の微笑みを踏み躙る結末を招くから。
 彼女が受け継いだ理念は、極大の汚濁を想定外に置いたものだから。

 彼女に牙向く穢れを滅相しよう、この身がこの魂が穢れようとも―――彼女は美しいから。彼女が穢れることが無いように。彼
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