第三章 『イレギュラー』
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思考し始めたデュナミスの肩が、トンと叩かれる。そこには『小さく重く黒い洞』という重力魔法を発動させたアルビレオ・イマがいた。
黒い球のような『小さく重く黒い洞』が急速に唸り始め、一瞬にしてデュナミスの右半身がえぐり取られる。それによりアルビレオ・イマがいたことに気がついた使徒達は、戦闘態勢を取った。
「ハッ! かび臭い骨董品の古本が増えた所で!」
戦線に復帰したセクンドゥムが威勢よく吠える。まるで自身を鼓舞するようにだ。
「まぁこの中で一番年寄りなことは認めましょう。ではこうしましょうか」
そういったアルの両側に魔法陣が現れた。
敵が魔方陣を展開しているのにも関わらず、むやみやたらに突っ込むのは利口とは言えないだろう。それも相手が、アル程の魔法使いならばなおさらである。
しかし使徒達はセクンドゥムを筆頭にアルへ突撃していった。恐れるに足らずと判断したのだろう、正面からだ。そして先頭に立つセクンドゥムがアルを間合いに捉えようとしていた。
その寸前、セクンドゥムが見えないなにかに衝突し吹き飛ばされた。セクンドゥムに激突したのは拳圧だ。魔法ではなく、純粋に突き出された拳の圧力がセクンドゥムを吹き飛ばしたのである。“無音拳”とも呼ばれるこの技を放った本人――タカミチ・T・高畑が、アルの展開した魔法陣から姿を現した。そしてもう一つの魔法陣からクルト・ゲーデルが野太刀を携えて現れた。
さらにちょうど詠春や近衛右門が降り立ち、アル達と合流した。
「おや、これはまた大物がいらっしゃいますね」
エヴァンジェリンの近くへ立ったアルがダンテの顔を見て言った。倒れ込んでいるネギの様子を見ていたエヴァンジェリンがそれを聞いてアルへ聞く。
「なんだ、こいつのことを知っているのか?」
エヴァンジェリンとダンテはほんの数刻前まで文字通り殺し合いを演じていたが、互いに名前すら告げていなかった。そのため互いについてはほぼ知らないと言っていい。
もっともエンツォが渡した書類には、少しではあるがエヴァンジェリンについての情報が記されていたが、ダンテは見ていなかった。なぜならダンテは行き先と目標の特徴さえ分かれば、後は現地で探せばいいと考えていたからだ。そうすれば退屈しのぎもできる。さらに今回はご丁寧に目標の写真が添付されていた。そうするとダンテがいちいち書類に目を通すはずもなく、エンツォもそれを分かっているのでいの一番に写真を出したのである。
エヴァンジェリンの問いにアルはいつもの微笑を浮かべて答えた。
「ええ、よく存じていますよ」
ダンテをよく知っているような口ぶりだったが、当のダンテはそう言ったアルに見覚えはなく、誰だ? と言いたげに首を傾げていた。エヴァンジェリンがさらに聞き出そうとするが、アル
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