第三章 『イレギュラー』
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たその時。セクンドゥムの腕を誰かの手が――地面から生えた手が掴んだ。それも自分の影から生えた手だ。セクンドゥムが驚きと混乱に陥る中、その手の主は影から姿を現していく。
それは可憐な少女の姿をした最強種、吸血鬼の真祖たる、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルだった。
「まったく、我が弟子ながら情けない」
「き、貴様は!」
セクンドゥムが肉体を雷化させ、強化された拳打を三度エヴァンジェリンへ打ち込む。その拳はエヴァンジェリンの右腕や金の髪を文字通り消し飛ばした。それを見たセクンドゥムは、仕留めたと安堵したのか、笑みを浮かべた。
しかし同時に、エヴァンジェリンも渇いた笑みを浮かべ、合気柔術によりセクンドゥムを宙に飛ばしていた。気がつけば投げられていたセクンドゥムに、エヴァンジェリンが追撃に繰り出した蹴りを防ぐ道理はなかった。
モロにエヴァンジェリンの蹴りを喰らったセクンドゥムは派手に蹴り飛ばされる。
「あ奴は……『闇の福音』エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル!」
ダンテと戦っていた使徒達が、エヴァンジェリンが現れたことに注意が逸れる。予想外の大物の出現に、流石の使徒たちも動揺を表したようだ。
「ほう、私の名を知っているとは、なかなか見所のあるガキ共ではないか」
喪失した腕が再生したエヴァンジェリンが不敵な笑みとともに使徒達を見据える。そこへダンテが大きな跳躍によりエヴァンジェリンの隣に降り立った。
「Hey! こんなところで何してんだ? 嬢ちゃん」
ダンテがエヴァンジェリンへ話し掛けた。話し掛けたダンテはそうでもないが、話し掛けられたエヴァンジェリンは思いっ切り怪訝な顔をしていた。
「それはこっちのセリフだ……なぜ貴様がここにいる?」
「ご指名があってね。モテる男ってのは辛いな、そう思わないか?」
エヴァンジェリンはいささか辟易としたのか、もはやそれ以上何も言う
気にはならなかった。そこへデュナミスが突如として現れたエヴァンジェリンへ向けて割って口を開いた。
「貴様が人間側につくとは想定外だな。だが貴様の力が噂通りだったとしても、せいぜい貴様とそやつのみ。この数を相手に何ができる?」
造物主の使徒がこれほどいれば、かの吸血鬼の真祖といえども敵ではないとデュナミスは言いたかったようだ。確かにデュナミスの指摘の言う通り、数とはそのものが力である。
だがエヴァンジェリンはそんなことか、と言いたげな雰囲気だった。実際、彼女の実力なら造物主の使徒がどれほどいようと、まさに圧倒できるだろう。さらにデュナミスの言う数についても何ら心配はいらなかった。
「どうかな? 貴様、麻帆良と魔法世界を繋いだのは失敗かもしれんぞ?」
「なに?」
どういうことだ? と
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