第三章 『イレギュラー』
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日が大きく傾き、麻帆良学園は夕焼けに赤く染まっていた。普通なら、一日が終わりゆく日常の風景の一コマだろう。しかし、世界樹の辺りは煌々と輝く魔光が交わり、幻想的な風景となっていた。
またもう一箇所、日常とは違った光景が広がっている場所があった。そこは夕焼けと言うにはあまりにも赤く、血に染まっていた。あちこちに肉塊が転がり、垂れ流された血が地面にも壁にもへばりつき、むせ返るような血と獣の臭が立ち込めていた。
地獄絵図。そう形容するのが相応しい様相を呈していた。
「相変わらずガッツのない奴らだ。まだあの子猫ちゃんと遊んでたほうが刺激的だったな」
血みどろの中、ダンテは転がっている肉塊の一つに腰掛けていた。その肉塊は、痙攣しているのか、ピクピクと不規則に動いている。
あちこちに転がっている肉塊は、元はダンテを囲んでいた悪魔達だ。かなりの数がいたのにもかかわらず、全てダンテによって屠られたようだ。もっとも、とうのダンテは汗一つかいていない。それどころか、少し退屈そうな表情を浮かべ、地面に突き立てたリベリオンを弄りながら、これからどうしようかと思案しているところだった。
久しぶりに大物の悪魔を狩れると思いわざわざ遠く離れた日本へ来たものの、肝心の標的は悪魔ではなかった。その代わりというわけではないが、吸血鬼との手合わせは久々にダンテを熱くさせるものであった。普段のダンテなら、今でも戦っていたはずだ。しかしダンテはそれよりも涌いて出てきた悪魔が気になっていた。
悪魔がいるのでそれを狩るという意味もあるが、何よりダンテが気になったのはその湧き方が、明らかにおかしいことだった。自然発生ではありえない、それこそ人為的に悪魔を召喚しなければ説明がつかない量だからだ。意図を持って悪魔を呼び出している者がいるのなら、その大本を叩かなければ意味は無い。しかし、ここ麻帆良学園は広い。まともに探していたのではそれこそ埒があかない。
(さて、どうする――)
考えあぐねていたダンテが突然振り返った。振り返ったその先には、少女が立っていた。
彼女はザジ・レイニーデイ。ネギが受け持つ3―Aクラスの生徒だ。普段馬鹿騒ぎしている3―Aクラスには珍しく、物静かで少し不思議な雰囲気を持った少女である。
その少女は、血にまみれた凄惨な景色に動じるどころか、いやに落ち落ち着き払った様子でダンテに話し掛けた。
「あれだけの数の悪魔をものともしないとは。流石、と言ったところですね。あぁ、申し遅れました。私はザジ・レイニーデイと申します」
ダンテは言うまでもなく達人の域を超える強者だ。そのダンテに気付かれることなくこの少女は近付いた。その上、口ぶりから悪魔についても知っているようだ。宗教や信仰の意味ではなく、種族として。
これに
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