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立派な魔法使い 偉大な悪魔
第二章 『宿命』
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 20年前、魔法世界は連合国と帝国の戦火の中にあった。その末期に、ある秘密結社が表舞台に姿を現した。
 “完全なる世界(コズモ・エンテレケイア)”。そう名乗る彼らは、“神代の魔法”を宿すとされる王族の血筋、中でも完全魔法無効化能力を持つ“黄昏の姫御子”を利用して魔法世界の崩壊を画策していた。まさに魔法世界の存続がかかった危機だった。
 その危機を救ったのが、後世英雄と語られることになる“ナギ・スプリングフィールド”と仲間の“赤き翼”らである。彼らの活躍によって“完全なる世界”とその黒幕は倒れ、魔法世界は崩壊を免れた。
 それから20年後の今。その英雄の息子であるネギ・スプリングフィールドは、かつて父が戦った地“墓守り人の宮殿”に立っていた。
 数奇な運命ではないだろうか? 在りし日の父と同じ地に立ち、かつて父がその時倒した敵が目の前に立っているのだ。その敵――フェイト・アーウェルンクスは無表情だった。ただ険しい瞳がネギを見据えている。

「できれば話し合いで決めたい」

 フェイト達の行おうとしている計画は、20年前と同様の計画だ。“黄昏の姫御子”である神楽坂明日菜をの力を利用し、魔法世界を崩壊させること。なぜ“完全なる世界”がこのような計画を進めるのか、ネギには見当がついていた。そしてそれに対する代替案を示したいと考えていた。
 ただネギのその言葉には穏便に済まそうという気配はなかった。もっともフェイトも話し合いをする気など毛程もなかった。穏便に済ますなど、考えにあるはずなどない。

「……本気で言っているとは思えないね」

 両者の視線が絡み、闘気が膨れ上がっていく。二人共背格好は十歳ほどの子供である。しかし今そこにある光景は、子供が出すには似つかわしくないほど殺伐とした空気が張り詰める。間合いは拳一あるかどうか。いつこの均衡が崩れてもおかしくはない。
 瞬間、フェイトの足元が割れ右腕が霞んだ。目にも留まらぬ早さの拳がネギの顔面を捉えた。辺りに土煙が舞い上がり、岩が飛散する。側にいた宮崎のどかが悲鳴をあげ、少し離れた所にいた長谷川千雨やオコジョのアルベール・カモミールがネギの名前を叫んでいた。

「ダ、ダメだ。生身の兄貴にあの攻撃を耐えられるはずがねぇ……そんな、兄貴――」

 フェイト程の実力になればただの拳でも凄まじい威力である。まして生身では耐え切れずに、頭部が爆ぜるように消し飛でしまうだろう。攻撃を生身で受けたネギがやられてしまったと思うのは当然の事だ。
 しかし土煙が晴れたそこには、無残な死を遂げたネギの姿はなく、悠然と立っているネギの姿があった。フェイトの拳は確かにネギの顔面を捉えている。だが、ネギの顔には紋様が浮かび上がり、フェイトの拳を止めていた。その模様は闇の魔法を手にした時に腕に刻まれた紋様と同一
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