第二章 『宿命』
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え、高殿の王!」
二人の手に膨大な魔力が集積する。最大級の魔法を行使するにしても、規格外といえる魔力の量だ。
「来れ、巨神を滅ぼす燃ゆる立つ雷霆!」
「地割り来れ、千丈舐め尽くす灼熱の奔流!」
ネギの手には強烈なスパークが走り、フェイトがかざす手の先の地表が地鳴りとともに灼熱を帯びはじめる。
「百重千重となりて走れよ稲妻!』」
「滾れ! 迸れ! 赫灼たる亡びの地神!』」
スパークは一層激しくなり、辺りの地面がいびつに隆起する。
二人が呪文の詠唱を終えたのは同時。極大の魔法が、零距離で解放される。
ネギの『千の雷』が幾重にも折り重なった雷を絶え間無く走らせ、フェイトの『引き裂く大地』により地を割って現れた灼熱の溶岩が吹き荒れる。
無数の雷は灼熱の溶岩を砕き、灼熱の溶岩は無数の雷を飲み込んでいく。雷と溶岩が喰らい合い、魔力と魔力がぶつかり合う。
これらの魔法は広域殲滅魔法に分類され、中遠距離の敵に使用されるのが常である。なぜなら近距離で使用すれば術者自身も危険であるからだ。
しかし二人は零距離で、しかも真っ向から使用した。
当然そのようなことをすれば、二つの極大魔法のせめぎあいに巻き込まれ、術者が消し飛んだとしてもおかしくはない。いかにネギとフェイトといえど危険すぎる。
しかし二人は構わず全力で魔法を放ち続け、最後の一滴を搾り出すように魔力を解放していく。
「あああぁぁ!」
「あああぁぁ!」
雷と溶岩の奔流が一層激しくなる。魔力の衝突はもはや臨界に達しようとしていた。
しかし突然、その雷と溶岩を何かが突き破り――そのまま二人を貫いた。
それは黒い槍のような物で、フェイトの多重障壁も、闇の魔法を会得したネギの障壁も易々と貫いた。
荒れ狂っていた雷と溶岩も掻き消えた。もっとも、極大魔法の衝突のエネルギーは凄まじく、その余波により地面が融解し、その溶けた岩が滝のように流れ出すほどに地形が変容していた。
そして二人は力なく倒れこんだ。術式兵装が解かれたネギの傷口からはこんこんと血が流れ、フェイトは傷口から細かく散りはじめていた。
「がっ…はっ!」
ネギはかすれる意識の中、その者を見据えようと傷付いた体を動かした。
赤々とした溶岩が流れる中に立っていたのは――『造物主』『始まりの魔法使い』と呼ばれている者だった。漆黒の衣を纏った造物主は悠然と立ち、圧倒的な存在感を放ってる。
ネギは強くなった。禁忌とされる闇の魔法を会得し、高度な独自魔法を開発した。そして英雄ジャック・ラカンにお墨付きを貰い、歴然とした実力差があったフェイトと渡り合った。
驕りでも過信でもない。確固たる自信だ。
しかしその者に、その存在に勝てるか、ネギは分から
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