第二章 『宿命』
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かしなぜかネギの顔にも苦悶の色が浮かんでいる。むしろフェイトよりも苦痛に顔が歪んでいるようだ。その原因はフェイトに突き刺している拳にあった。腕を伝って闇の魔法の紋様が広がり、
何かがネギを侵食していたのだ。
「ッ……ハッ!」
あまりの激痛に、ネギはフェイトを発剄により吹き飛ばして無理やり距離をとった。吹き飛ばされたフェイトは岩盤を幾つも砕いてようやく止まった。
そしてフェイトは先ほどのネギに起こった事から、あることに気づいていた。
(所詮人形は人形、主の意のままか。10年前20年前、あるいはそれ以前からずっと……)
そこでフェイトは思索を中断した。自身が気がついたことに関して今は確かめようがない。何より今はネギとの戦いの最中だ。それ以外はいい。もっとも、それも終盤にきているのはフェイトも分かっていた。のしかかる岩を除けながら、フェイトは近くへ降り立ったネギへ終幕を告げる。
「終わりが見えたね、ネギ君。次でケリだ」
ネギもそれは分かっていた。だからフェイトにずっと言おうと思っていたことを伝えた。
「フェイト。僕は……君と友達になりたい」
なにを馬鹿なことを、というのがフェイトの感想だった。実際フェイトは困惑と怪訝の混じった表情で「バカか君は」と一蹴した。しかしネギは続けて言う。
「そう言うと思ったよ。だからこの戦いに僕が勝ったら、まず僕の代替案を聞いてもらう」
「随分と勝手だ。……まぁいい、礼は言おう。楽しい戦いだった」
フェイトは呆れかえっていた。
だが少し間を置くと、どう云う風の吹き回しか手を差し出して握手を求めてきた。ネギはそれを承諾の意思と捉え、握手に応じた。だがフェイトはそれを承諾の意思だけではなく、確実に最後の一撃にするために、手を差し出していた。その証拠にネギが手を握り返すと、その手に握手には強すぎるほどの力を込め始めた。
「終わりだネギ君。逃げられないよ」
ネギも握り返すが、フェイトの手は緩むどころかますます強くなっていく。そしてネギはとうとう観念した。フェイトがその気ならば、自分も全力で決着をつけるだけ。ネギも全力でフェイトの手を握り返す。
「上等!」
二人は互いの手をただ全力で握り返しているだけだ。ただそれだけなのに、あまりの力に足場にヒビが入り、砕け散る。もはや二人の目には相手をこの一撃で倒すことしか映ってはいなかった。
フェイトは片手を掲げ、魔法を唱えはじめた。
「ヴィシュ・タル・リ・シュタル・ヴァンゲイト! 『契約により我に従え、奈落の王!」
その魔法は地系魔法最大の威力を誇るものだ。
そしてネギも、雷系魔法最大の威力を誇る魔法を詠唱する。
「ラス・テル・マ・スキル・マギステル! 『契約により我に従
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