第二章 『宿命』
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の厄介さを知っている。そのために距離をとったのだ。
しかしフェイトは次の布石として石化の邪眼を使っていた。ネギが間合いをあけるであろうと予測していたためだ。そのためネギが退いた時から、次の呪文を唱えはじめていた。石化の邪眼よりも厄介な魔法を。
「ヴィシュ・タル・リ・シュタル・ヴァンゲイト『小さき王 八つ足の蜥蜴 邪眼の主よ」
ネギはその呪文を知っていた。かつて、修学旅行先の京都で初めて戦ったフェイトが放った魔法の一つだったからだ。そしてその魔法の危険さも知っていた。
「時を奪う毒の吐息を』」
触れただけで石化させてしまう雲、『石の息吹』が瞬時に広範囲へ広がる。その雲は京都で放たれたものとは比較にならないほど大きく、ネギは全速力で雲に触れないように離れる。しかし雲の広がりの方が早い。石化の雲はまさにネギを覆うとしていた。
その時、ネギが呪文を唱えはじめた。ネギの右腕に紫電が走る。
「ラス・テル・マ・スキル・マギステル『来たれ、雷精、風の精。雷を纏いて吹きすさべ南洋の嵐』!」
そして右腕に渦巻く暴風を打ち出した。放たれた魔法『雷の暴風』は雷を纏った猛り狂う暴風だ。雲は風に切り裂かれ、吹き飛ばされた。
雷の暴風を放ったネギが体勢を立て直した瞬間、フェイトがネギの背後に現れた。周囲に、数本の黒い剣『千刃黒耀剣』を展開して。
展開していた千刃黒耀剣を、フェイトは全てネギへ向けて放った。避けるにはもはや遅い。剣がネギの目の前まで迫っていた。が、ネギはそれを――砕いた。紙一重 でかわし、拳を、掌を、肘を使い体術のみで千刃黒耀剣を砕いていく。そしてついに、ネギは全ての千刃黒耀剣を捌ききった。
砕かれた剣の破片と、地面をえぐった剣によって土煙が舞い上がっている。流石のネギも少し呼吸が乱れていた。
しかし土煙が晴れた先に広がる光景に、ネギは思わず目を見開いた。
そこには文字通り、一面に無数の黒い杭が広がっていた。
フェイトはこれを狙っていた。石化の邪眼も石の息吹も千刃黒耀剣も、このための布石でしかなかった。先ほどの千刃黒耀剣とは比べものにならない数の杭。それが全てネギに襲い掛かろうとしていた。
「『万象貫く黒杭の円環』。かの英雄ジャック・ラカンは凌いだよ。君はどうだいネギく――」
話し終わる前に、フェイトの体は吹き飛ばされていた。
一体何が起こったのかフェイトは分からなかったが、反射的に反撃する。だがそれは届かなかった。目の前に現れたネギがフェイトの反撃を止めていたからだ。
ネギは『千の雷』という雷系最大の魔法を霊体に取り込んだ姿、術式兵装『雷天大壮』という姿になっていた。この雷天大壮は瞬間的に雷と同様の速度で動くことが可能になる技法である。ネギは雷速で黒い杭をかい潜り、フェイトを殴っ
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