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立派な魔法使い 偉大な悪魔
第二章 『宿命』
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のものだった。

「そういうことか」

 それを見たフェイトはなにかを理解したのか、得心した表情を浮かべた。対してネギは僅かに笑みを浮かべた。そして右腕をフェイトが突き出した右腕に添え、踏み込みと共にフェイトの腹部を左腕で突く。次の瞬間、大きな衝撃と共にフェイトが大きく弾き飛ばされた。
 地面をえぐる程の踏み込みに土埃を巻き上げる程の拳圧を伴った先のフェイトの拳撃に比べ、ネギの拳撃は一見威力が無いように見えた。しかしネギの拳撃の破壊力はフェイトのそれとは違った。

「グゥッ……!」

 地面を削り取る程の踏ん張りにより、体勢を大きく崩すことなくフェイトの体は止まった。苦悶の声を上げたフェイトだったが、すぐに小さな笑いが聞こえてきた。

「京都で僕は君に、今はまだ無理だと言ったよね」

 フェイトは下を向いていた顔をゆっくりと上げた。

「……遂にここまで来たか」

 その瞳は妖しく、不気味に輝いていた。

「君は僕に、何も知らないただの子供だと言ったね。だが全てを知り、僕自身の答えを携えて来たぞ」

 ネギがフェイトを見たまま、答える。その目は揺るぎ無く真っ直ぐとしていた。それに対するフェイトの答えは「受け入れられない」というものだったが、ネギは始めから分かっていた。だからネギの答えは一つ。

「ああ、だから――拳でわからせてやるって言ってんだ、フェイト」

 闇の魔法を使いこなしフェイトと互角に渡り合えたネギを少し離れた所で見ていたネギの仲間達は、フェイトに勝てるのでは? という希望に湧いていた。それもそうだろう。あれほど圧倒的に強かったフェイトに攻防できていたのだ。さらにネギには切り札もある。
 しかし千雨とカモは様子が違っていた。なぜなら彼等は闇の魔法を使いこなすということがどういう事なのか、知っていたからだ。
 闇の魔法を使いこなすということは、常に自然状態で闇の魔法を維持しているということだ。それを分かっていた二人は、そのことが何を意味しているのかも分かってしまった。
  闇の魔法を自然状態で維持する。それは闇の魔法を異物ではなく自らのモノとするために、身体や霊体が適応したという事だ。そもそも適応できなければ、 いずれその力に押しつぶされ自滅するか、廃人となるか、ただ破壊するだけの理性のない魔物に成り果ててしまうかである。
 つまり闇の魔法を使う者は“死”か、“人間から人外の化け物”になるの二つに一つということだ。

「つまり、先生はもう、エヴァンジェリンと同じ、“人間”とは呼べないモノ……になってるってことか?」

 二人の不安をよそに、二人は動いていた。
 離れていた間合いを両者共に一足飛びに詰め、互いの右腕が相手の顔面を捉える。顔面へめり込む程の衝撃で二人が吹き飛ばされた。

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