第一章 『吸血鬼と悪魔』
[7/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
らもまったく全力は出していないようだ。
「それに貴様は思っていたよりも厄介そうだしな!」
それが合図だったかのように、両者が弾かれるように離れた。すると先程まで二人が競り合っていた所に、召喚魔の剣が振り下ろされた。その剣は粗悪なもので、切れ味の悪いものであった。しかし純粋な破壊力は高く、屋根に大きな窪みと亀裂が走り、破片が飛び散る。
「邪魔だよ」
エヴァンジェリンがまたもや瞬動で、召喚魔の後ろに現れた。そして召喚魔の後頭部を蹴りつける。頚椎と頭骨が砕ける音と共に、召喚魔が屋根にたたき付けられる。
まだ空中にいたエヴァンジェリンだったが、空中での瞬動――虚空瞬動により再びダンテを間合いに捉える。再びリベリオンと断罪の剣が火花を散らした。しかし今度は競り合いにならず、弾かれる。
そしてダンテは振り返って背後に迫っていた召喚魔を両断する。両断された召喚魔は、赤い血を噴き出しながら崩れ落ちた。一方でエヴァンジェリンも振り返って召喚魔の首を撥ねていた。
断罪の剣には、触れた物を強制的に蒸発させる効果がある。そのため召喚魔がみるみる相転移させられ、蒸発していく。また、相転移させられた物質は大量の熱を奪う。それは周囲の熱が奪われ、周囲が極低温にまで温度が低下するということを意味する。現に蒸発した召喚魔の周囲が凍結していた。
空気中の水分が凍結する中、互いに背を向ける形になったが、二人とも身を翻し、そのまま上段の蹴りを繰り出す。そして両者の間で足がぶつかり、衝撃が走る。
「速いな嬢ちゃん」
「貴様もそれなりにな」
一瞬二人が笑みを浮かべた。そして再び離れる。
反逆の名を持つ剣と、死刑を執り行うという剣が激しくぶつかっては離れ、火花を散らしていく。
また、激しく弾き合う中、互いに迫り来る召喚魔を切り伏せていく。決して共闘でははない。
両者の考えは異なっている。ダンテにとって周囲の召喚魔は狩るべき対象であり、エヴァンジェリンにとっては邪魔な存在だから斬っている。ただそれだけだった。だが召喚魔を葬るという点では共通していたために、召喚魔の死体がみるみる積み重なっていく。
その速くて激しい剣舞のなか、赤い光が混じっているのが見える。それはダンテの持つリベリオンだった。リベリオンの刀身を赤い光が覆い、時折、パリパリと言う音と共にスパークがほとばしる。
そして一度後ろに跳び、リベリオンを逆手に構える。
「Let’s Rock!」
ダンテが逆手に構えたリベリオンを素早く振る。すると刀身から赤い光が放たれた。それはリベリオンの斬撃を魔力によって飛ばす『ドライブ』という技である。
さらにダンテはもう一度リベリオンを逆袈裟に振り上げる。二つの斬撃が召喚魔の群れを切り裂いていく。召喚魔の群れ、い
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ