第一章 『吸血鬼と悪魔』
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のアルは表情を変えず続けた。
「そして、その人物が今もなお生きてあそこにいる、としたら?」
エヴァンジェリンは怪訝な表情のままアルへ反論する。
「死んでいなかった……だと? それはオカシイぞ。もともと不死を得て
いたのならば、私を使って研究する必要がない」
彼女の指摘はもっともであり、矛盾を突いていた。しかしアルはあることを一つ付け加えた。
「ではその人物が『不死』ではなく、『不滅』だったとしたら?」
「それは……」
『不死』ではなく、『不滅』。それは肉体的な死を迎えようとも、その『存在』は生きているということである。
『不滅』は肉体的な死を迎えると、魂はそのままにもう一度生まれることや、既存の肉体に入り込むことで可能である。そしてその人物が『不滅』であるなら、エヴァンジェリンが昔に殺したとしても今もなお『存在』が生きているということは否定できなくなる。
エヴァンジェリンがそれを察した様子を見ると、アルは核心に迫った。
「そして“紅き翼”も20年前討伐に失敗し、10年前かろうじて封印に成功しました――ある一人の英雄の犠牲によって」
エヴァンジェリンが長年待ち続け、ネギが追いつづけた存在。アルがナギ・スプリングフィールドの事を言っていることは明白だった。
一方、エヴァンジェリンは目を見開いて衝撃を受けていた。それは先程の『不滅』と『ナギ・スプリングフィールド』の二つから見えてくる答えに至ったからだ。
「そうです。あそこに眠っているのは、始まりの魔法使い『造物主』です」
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