第一章 『吸血鬼と悪魔』
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仇を血祭りにあげるべく悪魔達はじりじりと距離を詰め、手にした刃や爪牙を構える。
その時、おもむろにダンテが片手を前に出して――クイッと手招きした。
「Come on,WIMP!」
それを聞いた悪魔達の希薄な理性は弾け飛び、無数の赤い目が一斉に襲い掛る。四方八方。逃げる場所はない。しかしダンテは銃のセーフティーを外し、不敵な笑みと共に構えた。
「It’s show time,BABY!」
「チッ」
ダンテが屋根からダイブした後、エヴァンジェリンは派手にえぐられた屋根を見て舌打ちをした。
エヴァンジェリンはダンテが罪の剣の一撃に耐えられるとは思っていなかった。断罪の剣に斬られても生きているとすれば、それはエヴァンジェリンと同じく不死であるか、高位の悪魔と同等以上の力を持った存在くらいである。
不死という存在は極稀であり、得てして強大な力を持っているものである。彼が学園結界に入ってきた時の反応は、かつて学園に進入したことがある爵位級の悪魔よりも弱いものだった。そのため彼女はダンテを不死でも高位の悪魔でもないと考えていた。
しかし実際に生きているということは、ダンテはエヴァンジェリンの考えていたものより厄介な存在だということになる。少し面倒な事になったな、とエヴァンジェリンが考えているとまたもや背後に誰かが降り立つ気配を感じた。
「なんだジジイ。指揮をとらなくていいのか?」
振り返るとそこには白い装束を着た頭が異様に長い老人がいた。この老人は麻帆良学園の理事長である近衛近右衛門である。彼の後ろにはアルビレオ・イマと近衛詠春がいた。近右衛門は長く伸びた顎髭をさすりながら近付いてきた。
「いやの、おぬしを捜しにきたんじゃよ」
エヴァンジェリンは近右衛門の表情が普段の飄々としたものでも穏やかなものでもない、険しいものであることに気がついた。後ろの詠春も同様に険しい顔になっていた。ただ一人アルビレオ・イマだけがいつもの含みのある笑みを浮かべていた。
「なにがあった? 説明しろ」
なにかあったのだろうと察したエヴァンジェリンの語感も厳しくなっていた。近右衛門は髭をさするのを止め、一拍置いてから口を開いた。
「ふ む、此度の一件がこちらの世界と向こうの世界だけの問題では無くなってきたようでな。厄介なことに魔界が動いているようでな。人間に危害を加えないよう設 定が施されている召喚魔とは違う、純粋な魔族が出てきていてな。奴ら世界樹を目指しているようじゃ。そこでおぬしの力を借りようと思ってな」
本格的に面倒な事になってきたな、とエヴァンジェリンは辟易した。しかしちょうど近右衛門に聞きたいことができたところだ。かえって好都合だったかもしれない。
「ふん、まあ協力してやらん
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