第一章 『吸血鬼と悪魔』
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れたということだ。それも柱のような強烈な発光となれば、世界樹の処理能力がオーバーペースに働いていることになる。
このままでは処理しきれない魔力が、どんどんこの地に溜まり何が起こるかわからない。大規模な魔力の暴走が起これば辺りが文字通り消し飛んでてしまうことも十分に考えられる。そういった事情を知らない一般の生徒にとってはなかばお祭り騒ぎだったが、麻帆良学園は油断できない緊迫した状況になっていた。現に麻帆良学園の理事長である近衛近右衛門は、魔法先生達に対して警戒体制をとらせていた。
学園が騒然となっている中、屋根の上で煌々と光る世界樹を眺めている少女がいた。
「やれやれ……冗談ではないぞ。見てみろ! スキ間から漏れ出す魔力だけであの輝き」
その少女は金色の長い髪を風になびかせながら、人形の様に整った顔にうんざりとした表情を浮かべていた。
「おまけに向こうの世界のものが見えるとはな」
彼女が見上げた先には、『墓守り人の宮殿』と呼ばれる魔法世界の建造物の姿が浮かんでいた。少しの間彼女は何をするでもなくその眺めをじっと見守っていた。彼女が何かを考えている様子は見て取れるが、その真意を知ることは出来ない。
そんな彼女のつかの間の思考も、ある姿が視界に映ったことで中断させられた。
「あれは、ぼー……や?」
今上空に浮かんでいる宮殿で誰かが戦っている姿が見えたのである。普通ならばそのような小さな姿は見えないし、例え見えたとしても不鮮明である。だが彼女にははっきりと見えていた。戦っているのは、自身の弟子であるネギ・スプリングフィールドだ。
もっとも、ネギの姿・戦闘レベルは彼女の知っているものとは桁違いだった。もはや別人と言っても過言ではないほどに。そしてすぐに彼女は何がネギをここまで変えたのか、その答えに行き着いた。
「間違いない……な。よもや 闇の魔法とは。確かに、この短期間であそこまでになるにはそれしかあるまい」
闇の魔法とは、本来放出させるはずの魔法を固定し、それを取り込んで霊体と融合させることで爆発的な力を得る、まさに狂気の技である。もともとは彼女が考案した技法であるが、取得の難しさや使用による費用対効果から、彼女以外まともに扱えないものであった。そのため闇の魔法は彼女固有の技法であると言われていた。
だがその技を、魔法世界へ向かってから僅か二カ月の間で弟子であるネギは取得していた。ネギが闇の魔法に手を出したことに、師匠である彼女はなんとも言い難い気持ちだった。なぜなら闇の魔法は強大な力をもたらす反面、使用するにはリスクがあるからだ。
術者の肉体的負担。そして精神と魂の崩壊だ。魔法を霊体と融合させるということは、精神と魂を直接魔力の渦に晒すような行為である。そんなことをす
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