『悪霊使い』の少年そのD
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せて細かい動作にも対応できるようになっていて、電気ねずみのぬいぐるみを取ることができた。「うわああ………!取れてますよ、センジョー!」喜ぶアーシアの声がして取り出し口から電気ねずみのぬいぐるみを取り、大切そうに抱きしめている。ボタンから感じ取った『太陽のような』暖かさ。それでいて、まだまだ刺々しいような『若さ』がある。ふと見えた後ろ姿は親指を立てて、千城の成功を祝っている。
『ありがとうございます、センジョー!………お知り合いですか?』
『ああ、頼もしい奴だよ』
? 腐れ縁の陰ながらのサポートに気づいたことと、そして彼に感謝の意を示した。チェザーレがどこかで見てそうな気がするが、あの腐れ縁はクールな男のはずである。空気は読める男だろう、とチェザーレについての話題を出しながら電気ねずみのぬいぐるみを抱くアーシアとともにゲームセンターを後にした。一息つくために日が沈みそうな日差しを受け、アーシアの金髪が照らされてとても美しい。笑顔を向けられるたびに心臓の鼓動は早くなり、アーシアが電気ねずみのぬいぐるみを抱きながら、身を寄せてくる。
? ?あの日に言えなかった言葉を言おうとしてーー。
「アーシア、帰るぞ」
「カラワーナ、様………?」
? ?アーシアに話しかけた声の主がボディコン調のスーツ、女性にしては長身であるのはまだ良い。問題なのはその翼と眉間に見える『芽』である。『肉の芽』とこの『芽』について称しておくとして、目は座っておらずアーシアの様子が変化したことから察することができる。
? アーシアが怖がっている。
? ただそれだけで動くには十分だった。自分の中に秘められた力の正体が何かわからぬまま振るうのは得策ではないだろうが、アーシアの表情が怖がっているならば怖いと感じる暇はない。幼少期に感じた気配に似たものを感じさせ、漂うそれは吐き気を催すほどだ。
「アーシア」
「セン、ジョー………?」
「こいつは?」
「こいつ、だと?昨日の軽い奴のように気にくわないな、人間の癖に」
? 軽い奴と聞いて脳裏に浮かぶのはチェザーレだった。千城の感情に応えるようにぬらりと現れる『ソイツ』。逞しさに力強さ、圧倒的なまでの威圧感を纏う人型の名は無い。だが強いて名付けるとするならば、千城はこう名付けよう。
? DECIDE、と。
「こいつの元にアーシアは帰りたいのか?」
「カラワーナ様には拾ってもらいましたし、食事もいただきました。でも………」
「嫌なら、俺と来ればいい。じじいとSPW財団の力に頼らなければならないが、全力でお前を守ってみせる」
「ハッ!人間風情が何を言うのか!」
? 幸い、カラワーナにはDECIDEが見えていないらしい。アーシアにもふいに現れたDECIDEが見えていないようなので大丈夫そうだが、カラ
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