『悪霊使い』の少年そのD
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
? アーシアと回る駒王町は千城の目にいつも以上に美しく映った。出会った教会があった場所は街から離れた村であったことと、周囲は舗装されていなかったので二人で街を回るのは初めてかもしれない。千城の感情は推し量れないが、こうして異性と歩いているのはアーシアとしては気恥ずかしさがある。昔と変わらぬ幼馴染みは背丈が伸びたことから、見上げなければならないが服から伝わる体温は相変わらず暖かい。
? 離れ離れになっている間、互いに何があったのかを話した。閉鎖された環境で生活していたらしいアーシアは千城の言う『ガッコウセイカツ』というものに目を輝かせた。小腹が空いたので訪れたファーストフードショップ。ハンバーガーセットを頼み、座席に座るとアーシアは食べ方がわからなかったようで千城を見上げている。千城は見本としてハンバーガーの包装紙を解き、掴んで食べて見せた。すると、アーシアがそれに続いてぱくついた。しばらく咀嚼すると、「美味しいです」とアーシアは笑顔になった。それからハンバーガーショップを出た後、二人の視線はゲームセンターを捉えた。
「うわあ、かわいいです」
? アーシアがUFOキャッチャーのぬいぐるみに目を奪われたようだ。ショーケースのような筐体に手を当てて、そして千城を見上げた。ふと、UFOキャッチャーを見て思い出したことがある。
ーーいいか、JOJO!UFOキャッチャーを極めし男はモテる!と相場で決まっているんだ。じいさんもジョセフさんもUFOキャッチャーが上手い!つまりはそういうことだ!
? きっかけとしては、十分だった。
? 『悪霊使い』と称される千城ならば、もしも自分に『悪霊』を使役する資格があるならば。『そいつ』は確かに自分の味方で力であるはずなのだ。
「俺に任せろ」
? 数分後、『悪霊』とともにUFOキャッチャーに励む千城の姿がそこにあった。
☆☆☆
「………うん?」
「センジョー、惜しいです!」
「俺は、必ず取る」
? チェザーレがゲームセンターに訪れた時、腐れ縁の少年は見知らぬ金髪少女の為に筐体にコインを連ねていた。操作は確かに昔、チェザーレが教えた通りに筋は良かったが、いかんせん千城は不器用なところがあるようだった。少女の欲しがっているであろう縫いぐるみはとあるアニメに登場する電気ねずみだ。ここで手助けをすれば簡単に取れるだろうが、それでは千城の為にはなるまい。いい男たるもの弟分の成長を促してこそである。
「………波紋のビートでオーバードライヴ!」
? わずかに波紋エネルギーを持つ千城に対し、小型の鉄球を千城の手にぶつけると僅かに苦悶の声が聞こえるが、前よりも千城のアームの動かし方は上がっている。波紋エネルギーをわずかながらに持つからこそ、出来るブーストの方法だ。『悪霊』の精密動作性をも併
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ