第三十六話 古都においてその一
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美しき異形達
第三十六話 古都において
薊達は滋賀から京都に入った、薊は京都市に入って、京都駅の時点でうんざりとした顔になってこう言った。
「うわ、暑いな」
「何かこれまでの場所よりもね」
裕香もその暑さに驚いていた、広大な京都駅の中で。
「暑いわよね、京都」
「何でこんなに暑いんだよ」
「ここは盆地よ」
驚く二人にだ、黒蘭が答えた。
「だから」
「ああ、熱がこもってか」
「それで暑いのね」
「盆地はそうよ」
夏は熱がこもって、というのだ。
「夏は暑くて。冬は山から風が降りてきて」
「寒いんだな」
「冬は冬で」
「京都は夏は暑くて冬は寒いの」
他の地域に比べてだ。
「その代わり春と秋は過ごしやすいけれど」
「成程な、それでもな」
黒蘭の話を聞いて納得はした、しかしだ。
薊はその暑さに辟易しつつだ、こうも言ったのだった。
「こんなに暑いと泳ぎたくなるぜ」
「滋賀で泳いだばかりなのに?」
向日葵が薊に少し笑った顔で突っ込みを入れた。
「それでもなの」
「滋賀は滋賀、京都は京都だよ」
これが薊の主張だった。
「だからな」
「泳ぎたいのね」
「そう思ったよ、今回の旅行で一番な」
和歌山、そして滋賀で泳いでいるがそれでもというのだ。
「ここが一番暑いな」
「これからどんどん暑くなるわよ」
京都の暑さに早速辟易している薊にだ、菊は冷静に言った。ビワコオオナマズを観られたので機嫌がいいようだ。
「今回の旅行はね」
「えっ、そうなのかよ」
「季節的にもそうだし」
夏がさらに進むというのだ。
「それに奈良と大阪よ」
「大阪か」
「奈良も盆地だし大阪はもうね」
それこそというのだ。
「熱気がこもる場所でしかも人が多いから」
「大阪って熱気凄いな、そういえば」
「そうでしょ、あそこはそうなのよ」
「神戸や横須賀と違ってな」
「そう、だからね」
それで、というのだ。
「あそこは特別暑いのよ」
「大阪は確かに暑いな、ここ以上に」
「そうでしょ、けれど確かにここはね」
「暑いよな」
「京都は夏向きじゃないとも言われているのよ」
夏に観光に行くにはよくないというのだ。
「この暑さだからね」
「それで冬もか」
「そう、冬は冬で凄く寒いから」
このことをまた話すのだった。
住む人も大変みたいよ」
「そりゃそうだろうな」
「けれど学生だとね」
「それこそゆっくり行くなんてな」
「夏か冬しかないからね」
それぞれの長い休みの時だ。
「春もあるけれど」
「京都の桜は絶品ですが」
こう言ったのは桜だった。
「お花自体が」
「ああ、そうなんだな」
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