暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
七章 「夜に二人」
[10/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ど、なんで剣を振り回す女子ってのは、男と一緒に寝たがるんだよ。
「お前が近くにいないなら、屋根の上と大して変わらないじゃない。お前が別の部屋に移るなら、屋根の上に戻るわよ」
 汚い、流石シャナさん汚い。そう言われたら、本末転倒じゃないか。
「諦めてここで寝ろ、異論は認めぬ」
 畳み掛けるように、アラストールが絶望的な命令を下す。ブルータス、お前もか!
 頼みの綱も敵ってのは酷い。もう何を言っても無駄だなんだろ? 俺はもう知らないぞ? こっちで寝ろって言ったのはお前らなんだ。難癖なんかつけてきたら、タダじゃおかないからな。
「分かったよ。寝れば良いんだろ、寝れば」
 諦めた俺を見て満足そうな顔をするシャナ。なんだよ、言い負かして満足か? お前はここで満足するしかないのか? 俺は……、こんなんじゃ満足……出来ねぇよ。
 観念した俺を見た後、シャナはおもむろに胸元のコキュートスを外して、枕の下に押し込んだ。
「何をしてるんだ?」
「見れば分かるでしょ? 着替えよ、着・替・え。アラストールには見えない所に行って貰ったの」
 分からねぇよ。なに唐突に着替えだそうとしてるんだよ、と文句の一つでも言おうとしたら、枕の下から籠もった声でアラストールが続けてきた。
「そういう決まりなのだ。分かったなら、貴様も早くどこかに潜り込め」
 主導権はこちらのもんだ、そんな事を考えていた時期が僕にもありました。
 わざとらしく、シャナに聞こえるようにため息をついて部屋の押し入れに向かう。せめてもの反撃である。
 全く、見えない所って言われても、ここ位しかないじゃないか……。
「先に言っておくけど、覗いたらぶっ飛ばすわよ」
 それは、屋根の上で聞いたもの同じ脅し文句であり、あの時と同様に冗談とは受け取れないものだった。
「あぁ、もう分かってるよ……。さっさとしてくれよ」
 押入れの襖を開けて、自分の準備の良さが悲しくなってくる。
 昨日、部屋の中を荒らした後、押入れの中も含めて部屋を掃除しておいたのだ。この部屋にはあまり私物は無かった。だがその分、押入れの中は悲惨だった。
 元来、自分はあまり私物を持たない質だ。しかし、元から部屋にあった物を処分するのは、坂井悠二の生きた証、を捨ててしまう様で気がひけてしまう。したがって、押入れの中に坂井悠二の私物を押し込んだんだが、元からキャパオーバー気味であった所を整理したとはいえ物を増やしてしまった為、完全に物が溢れている。
 人が一人入れるスペースはギリギリ有る……か? 必死に体を隙間に押し込んでいると、シャナが文句を言ってきた。
「なにやってるのよ、早く閉めなさいよ」
 全く、人の苦労も知らないでよく言うよな。
「そう急かすなよ。覗くつもりなんかサラサラないって」
 どうにか体を押し込む事に成
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ