暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
七章 「夜に二人」
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ぜ。
「ところで、一晩中そうしてるのか?」
 スティックシュガーをむしり取ったシャナは、あろう事かそれを全部入れた。あーあ、そんなに砂糖を入れたらコーヒーじゃないぞ。もう、コーヒー牛乳でも飲んでろよ。
「そうよ。座りながら寝るのは慣れてるし、なにかあればアラストールが起こしてくれる」
 というか、寝ずの番をしてくれるのかと思ってたんだが、ちゃっかり寝るんだな。あの戦闘の後だし休息は必要だし、仕方はないと思うけど。もっとも臨戦状態での睡眠だから、疲労自体は確実に蓄積してるし、気休め程度なんだが。
 おっと、そういえばスプーンを渡し忘れてたな。
 リュックに手を突っ込み、使い捨てのティースプーンを用意する。えーと、何処に入れたっけな。
 リュックの中をガサガサと探し初めて、数秒後。シャナから催促がきた。
「スプーンは無いの? かき混ぜる物がないんだけれど……」
「ちょっと待ってくれ、今探してる所だ」
 ここでもないか。入れ忘れたっけ俺? いやいや、遠坂じゃあるまいし。砂糖を入れてスプーンを忘れるなんて、そんなベタなうっかりはしてないはずだ。
 遠坂本人が聞いたらガンドの雨が降りそうだが、うっかりに関しては本人もある程度は自覚してるからな。もうネタの域だよ、単なるネタ。
 おっ、あったあった。朱に交わればなんとやらっていうから、少々不安だったけどまだまだ大丈夫だな、俺は。
 スプーンを手渡して、そこで良い案を思い付く。どうせ寝るんなら、疲労は一気に消化した方が良い。俺の経験からも、寝ると決めたならキチンとした所で寝た方が良いってのは立証済みだし。
「なら、わざわざ屋根の上にいる必要はないんじゃないか? 敵が襲撃がしてくるとして、時間の特定は出来てるんだし」
 封絶の都合上、襲撃は明け方が夕方の筈だ。明け方頃には俺も起きているから、別に一晩中見張る必要はない。
「―――中に入れって言うの?」
 シャナは傘を上げて睨んでくる。眼が怖いよ、眼が。日頃の訓練で慣れてる俺が、一瞬狼狽える様な殺気を飛ばすな、全く。だがな、ここでハイそうですか、なんて簡単に引き下がる衛宮士郎じゃないんだ………!
「一晩中、雨の中に女の子を置いておくってのは、ハッキリ言って安眠妨害だろ。一応、防衛対象である俺の意見位は、訊いてくれても良いと思うんだけどな。イザってときに俺が逃げ遅れたらどうしようもないだろ?」
 キチンと理にかなった内容で説得する。シャナの事だ、詭弁じゃ言いくるめれないだろうしな。
「別に、そんな事は私の知った事じゃないわ。―――アラストールはどうなの?」
 一人では決めかねているのか、アラストールの意見を仰ぐシャナ。なかなか良い感じじゃないんですかね?
「確かに、なにかを守る、というケースはこれまでなかったな」
 反対しない辺り、ア
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