暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
七章 「夜に二人」
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ニコしてるような感じはしないけど、これは確実におかしいよな。俺には原因がさっぱり分からないし。
 パンツを見たのがバレたか? いや違うはずだ。一応、平静は装ったし、そもそもこの態度は、学校から帰ってる時からこうだった。
 帰り道に付いて来た割に、あっちからの会話は無し。こっちから話し掛けたら、睨み付けてくる。気不味い事この上なかったよ、全く。
 何かしたか、俺?
 延々と堂々巡りの思考に陥ってしまう。俺が悩んだって仕方がないんだが、こればかりは仕方がない。何せ体は剣でも心は硝子なんだし。
 だが悩んでいるよりも前に、今は大事な問題がある。とにかく当初の任務を完遂しなけらばならない。
「まぁ、良いか。それより、今のシャナは一応の所は平井ゆかりなんだろ? 家に帰らなくて良いのか?」
 本題ではないのだが、一応気になった事ではあるので聞く事にしておいた。交渉の下準備の軽い会話って奴だな。
 シャナは、ふんっ、と鼻を鳴らす。
「どうでもいいわね。コレは家族で喰われたみたいよ。両親もトーチだったし、なんとでも誤魔化せるわ」
「そう………か」
 失念していた。家族を丸々一つ喰われるって事もあるんだ。平井ゆかりの例とは逆に両親をいきなり失ってしまう、なんて事もきっとあるのだろう。
 そうなってしまったら、その後の顛末は想像するのは容易い事だ。あの火災の直後の俺も、そうなってしまってもおかしくなかった。切嗣に救われるまでは。
「用件はそれだけ? 私も忙しいんだから、用が済んだのならさっさと引っ込みなさいよね」
「本当は自分の身くらい、自分で守らないといけないんだよな。この雨の中、わざわざ悪い」
 少し、雨の中、を強めて言う。忘れてはいけない事だが、なんだかんだでシャナは俺の周囲を警戒してくれているんだ。
 そりゃ、文句の一つも垂れたくなるのかもしれない。帰り道はそれを考えていた上で、不機嫌だったのだろう。
「何か勘違いしてるみたいね。これは私がやらなければならない事なの。別にお前の為じゃないわ」
 ため息をつきながらシャナは答える。そりゃそうか。シャナは徒を狩りに来ただけであって、俺を護る事はイレギュラーに近い。仮に厄介な宝具だったら、それを得た徒を狩るのが面倒だからな。
 つまり俺はシャナにとって、特に用はないが相手には渡してはならない存在。俺にはどうする事も出来なかったとはいえ、嫌われたもんだ。
 だが、だからこそ今回のミッションはそんなシャナへの謝罪も含めている。だが悲しいかな、多分シャナは一晩中こんな調子だろう。なら交渉相手を変える―――って程でもないが、アラストールから切り崩す。
 こっちも短時間でカタをつけられるなんて、そんな甘い考えはしてないんだ。最終的にシャナを家の中に連れ込めればそれで良い。

「アラストールも
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