暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
六章 「狩人」
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 嵐の様に時間は過ぎ去り、ホームルームが終わる。教室を出て行く生徒を、夕陽が赤く染めていた。
 これからの予定をシャナに訊くべく、座席から立ち上がる。シャナの方から自発的に仕掛けてくれないから仕方ない。
 しかし突如、夕陽の赤が洪水の様に溢れ返り、空間を満たした。
「――――ッ!?」
 瞬時に俺は周囲を警戒する。この赤はただの夕陽じゃない。一度見ていた俺には分かる。
 窓の外と廊下の一部を、陽炎の壁が囲う。火線が走った床には、紋章の様な奇怪な文字列が描かれていた。空間内の生徒は全員、動作を途中で停止する。

 全てが静止した空間では俺自身も動けなくなる、なんて事はない。俺の中の鞘とは違うもう一つの宝具の為だ。
 とは言え、今は鞘を装備していないから、これしか宝具はないんだが。
 シャナは隣席から立ち上がる。唇の端がつり上がっている様は、俺にではないと分かっていてもピリピリと威圧感を感じさせていた。
「来たわね」
「そうなる………、な」
 覚悟していたとはいえ、俺にやれるのか? 周りの人間を救う事が。
「さぁ、やるわよ」
 シャナは机上に飛び乗り、窓に向かって仁王立ちをする。艶やかな黒髪が僅かになびき、火の粉を撒いて灼熱の光が灯る。
 いつしか寂びたコートを纏い、右手に『贄殿遮那』を握る、フレイムヘイズがそこにいた。
 一瞬、その姿に身惚れてしまったが、すぐに我に返って行動を開始する。
 教室内に残っている生徒は、自分達を除き四人。教室が主戦場になるだろうから、彼等を何とかして教室から排除してしまえば、とりあえず被害は出ないだろう。
 手近な窓を開け、四人を教室から廊下に放り出す。かなり乱暴な方法だが、今は時間が無い。
「頼むから、まだ来るなよ」
 投げた生徒の中には、池速人もいた。しかし、誰だろうと関係ない。とにかく教室から出てもらわないと。
 容赦なく放り投げていたが、池だけが―――その、かなり危険な角度、で地面に激突してしまった。
 すまないな………池。誓って言うが、故意じゃないぞ。
 しかし、今は時間がない。心の内で池に詫び、俺は作業を続行した。
 完全に静止してしまっているからか、人形を運んでいる気分になる。まぁ、変に動かれるよりは運び易くて助かるんだが。
 全員を教室から投げ終え、すぐさま生徒と壁を挟んだ位置につく。まだ……、敵は来ていないな。全く、息をつく余裕もない。
 廊下側の壁面から極力離れつつも、すぐさま防衛に回れる位置に立つ。俺自身も防御機構の一つと化してでも、教室の外の生徒を守らねばならない。廊下への被害を俺が未然に防ぎ、万一の取りこぼしは教室と廊下を隔てる壁が防ぐ。あんな薄い壁一枚にそれほど高望みは出来ない為、あの壁は有って無いような物だが。

 問題は俺自身の武装だ。
「――
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