”狩人”フリアグネ編
六章 「狩人」
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手つきで、袖口にカードを滑り込ませるフリアグネ。もう片方の手には、ボロボロの人形『マリアンヌ』が抱かれていた。
あのカードの奔流に紛れてフリアグネと合流したのだろう。
するとまた、泣きそうな顔になり、人形の有り様を眺め見る。
「あぁ……。全く、フレイムヘイズはいつも酷い事をする」
ほつれた口で、マリアンヌは詫びる。
「申――シわケ、ア――りませン、ご――シュ人、さマ」
「謝らないでおくれ、マリアンヌ。君を行かせた私も悪いんだ。まさか剣一本で、ここまで酷い事をされるとは思っていなかったんだよ」
すっかり二人の世界に浸っているフリアグネは、過度に優しい笑みを浮かべている。
フリアグネがそっと息を吹き掛けた途端、マリアンヌは薄白く燃え上がり、元のくたびれた人形に修復された。
―――昨日、シャナが俺にしたのと同じ事か。
あの様子だと、完全に破壊しない限りは何度でも蘇生すると見て間違いないだろう。
―――という事は、俺もそうなのか?
「さぁ……、これで元通り。慣れない宝具なんか持たせて、本当にごめんよ」
マリアンヌを抱き寄せて、フリアグネは頬擦りをする。
マリアンヌは潤んだ声で、フリアグネに答えた。
「身に余るお言葉です、ご主人様。でも……、今は」
甘くマリアンヌに返事をしたフリアグネは、ようやくシャナに目を向ける。
「昨日と今日で分かったよ。君はフレイムヘイズのクセに、炎をまともに出せないようだね。戦いぶりが、如何にもみみっちいな」
その言葉に、シャナが眉を片方跳ね上げる。
「……なんですって?」
そうそう、俺もそれは気にしてた。
“フレイム”ヘイズって名乗ってるわりに、封絶以外でシャナが炎を出しているのを見た事がない。
こっちの世界の事情を知らないから、偉そうに質問も出来ないしな。
「なにせ、かの『天壌の劫火』の契約者だ。どれ程の力か警戒していたんだけどね。そのかなりの業物らしい剣の力を借りて、ようやく内なる炎を呼び出せる程度とみたよ。違っているかな? 私の宝具への目利きは、かなり確かだと自負しているんだけれど」
「………」
キッ、とフリアグネを睨むシャナ。ハッキリと否定しない上にあの反応……。
どう見ても「そーよ、出せないわよ。出せなくて何か悪いッ?」って感じの反応にしか取れない。
―――苦労してるんだな、なんとなく分かるぜ。その気持ち。
何せ、魔術もろくに使えない魔術師だった俺だ。あの頃の俺は、当たり前の様に魔術を使う時代が来るとは夢にも思っていなかった。
まぁ、それについては置いておくとして。どうやら、フレイムヘイズは炎で攻撃する様だな。そして、シャナは炎を出せない。
それがどれだけ戦局を左右するのか俺には分からないが、手持ちを隠していた、位の振る舞
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