暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
六章 「狩人」
[5/14]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
悪い。加えるならば、一定の強度を保つため、刀の特徴ともいう切断力も打刀に劣っているのだ。
 贄殿遮那は異様に寸足らずな柄はともかく、本質的には太刀である。当然、その取り回しの悪さから、密着状態での近接戦は得意としていない筈だ。また、ただでさえ打刀よりも劣る切断力が巨躯の腕に掴まれる事で完全に封じられた。
 つまり、今のシャナは文字通り身動きが取れない状態だ。なるほど、なかなかどうして良い攻撃をする。
 だが、それはシャナと1対1の状況に限られた話だろう。
「何をもらったってんだ………!」
 怒気を込めて俺は向き直る。その両手には鉄の棒――近くに吹き飛ばされ、壊れた椅子の脚だ。当然、二本確保してある。
「同調――」
 詠唱と同時に駆ける。この程度の距離、一息で詰める事など造作もない。
 シャナと巨躯との間に割って入る。同時に二つの視線。
 一つは遂に奇行に出たと見た巨躯の視線。もう一つは、その結果が何も成さないと感じ失望を織り混ぜたシャナの視線。
 成る程、端からみれば無駄な行為で頭がおかしくなったと思うだろう。無謀にもただの鉄の棒という、お粗末で武器にもならない物での無駄な抵抗。戦況を変える事など出来やしない無意味な行為。
 だが、残念だな。こいつはただの椅子の脚じゃないんだ。
「――開始!」
 贄殿遮那を掴む巨腕を左の棒で下から打ち上げ、横から右の棒を叩き込む。強化され、鋼鉄と化した椅子の脚は巨躯の左腕を爆砕した。
 爆発で人形はたまらず、一歩後退する。
 その光景にシャナが声を漏らす。まぁ、驚くのも無理はないか。
「うそ………? あんな棒で―――!?」
 敵の失策。それは、こちらで戦闘を行う者をシャナ一人と誤認した事だ。贄殿遮那を掴む事によりシャナの行動を封じた。そして、それと同時に自分の行動をも制限してしまったのだ。
 少しでも力を抜けば、その瞬間、贄殿遮那により掌を切断される。しかし、大太刀を封じる為には両腕を使わなければならない。
 つまり、奴も動けなくなっていたのだ。

 この一撃で棒は二本とも使い物にならなくなっていた。
 だが、材料なら周囲に山のように落ちている。もう一度、椅子の脚を調達して強化してしまえば、再び即席の武器の完成だ。
 たかが椅子の脚と思っているであろう、強化された棒に腕を破壊され、呆然と動きを停止している人形に肉迫。さらに追撃をかける。
「これでも…くらえっ!」
 咄嗟に残された右腕を盾にする人形。甘い、最初からこっちの狙いはお前の腕だ。
 肘を突き出すように地面と水平に出された人形の右腕。その巨腕に容赦なく両手の棒を叩き込む。
 再び人形の腕が爆発する。これで人形は腕を二本とも失った。
 しかし、厄介な奴だ。毎回、攻撃をするたびにどこかしら爆発されていたら、まともに近
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ