暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
六章 「狩人」
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叫び声の原因であろう、大穴を空けている。傷口からは薄白い火花がちり、その光景が俺には、血を吹き出している様に見えた。
「ギギ―――」
 赤い糸で縫われた口は、低いうめき声をあげる。シャナは人形に何かを言おうとしたが、ふと周りを見回す。
 周りに飛び散っていた薄白い火花は、地面を跳ねて、彼女を取り囲んでいた。跳ねる内に体積を増した火花は、彼女を中心に回り始める。

「ウ――、ク…、くく!」

 うめきはいつしか忍び笑いに変わり、人形の傷口から、大量の火花が吹き出した。火花は一粒一粒の姿をセルロイドドールの頭に変え、人形の全身に張り付く。いつしか、人形を中心にいびつな巨躯が組み上げられていた。
「おいおい………、勘弁してくれよ」
 とにかく、距離を取らないといけない。何せ俺は未だに丸腰だ。例えその身に魔術回路を有していたところで、身体自体は普通の人間と大差がない。
 距離を取ろうと、少しずつ後ろに下がる。そこで見つけた、傷だらけの生徒を。
 教室から、強化した壁を挟んで廊下にクラスメートを投げたまでは良かった。だが不幸な事に彼だけが、出入り口の方に転がってしまったのだ。
「池!」
 生徒の名を呼んで駆け出す。シャナ以外で初めて会話した生徒であり、坂井悠二の友人でもある。全く、何やってんだ俺は。
 封絶の影響により、ただ倒れている池。いくら死体は見慣れてるとはいえ、一見して誤認しそうになる。
 体にはガラスの破片が突き刺さり、火傷も酷い。そして、首はあらぬ方向に折れている。
「まだ、息はある………か?」
 動作を止めているため、呼吸の確認も出来ない、しかし、下手に動かす方が返って危険だ。
 不幸中の幸いか、完全に動作を停止している為、出血は悪化しない。それに空間内の時間が停止しているのだから、負傷による身体への負担もない。つまり、身体さえ修復出来れば、まだ助かる。
「く、ききき……」
 巨躯の中心から笑い声。さっきの人形だろう。後ろで何かあったのか?
 振り向くと、巨躯の太い両腕がシャナの大太刀の刀身を掴んでいた。
「もらったわよ、フレイムヘイズ!」
 なるほど――、良い攻撃だ。

 刀は斬る際に一度引かねばならない。刀という武器の特徴的な性質だ。頑強さや重量をもって対象を切断する一般的な剣と比較した際、万人が扱えない理由はとどのつまりはそこにある。要するに、攻撃の際に引かねばならない事により、自然と円を描いた動きになってしまうのだ。
 さて、一口で刀と言ってもその種類は多岐に渡る。一般的に有名な刀は打刀という種類になる。大まかに分ければ、打刀よりも小型の物を脇差し、大型の物を太刀と分類される。刀の中でも太刀という系列は打刀と比較すれば、質量を利用した攻撃ではある。しかし、馬上での使用を前提とした形状は取り回しが
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