暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
六章 「狩人」
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「まさか………、な」
 こういう時の悪い予感ほど、よく当たるものはない。急いで、投影中の夫婦剣のイメージを破棄し、背後の壁に向き直った俺は、最悪の事態に備えるため、壁に駆け寄る。
 俺が壁に到着した直後、何かが爆発した様な音がした。足場の机を粉砕するほどの踏み切りで、シャナが跳んだのだ。
 的に向かう矢の如く突進するシャナ。その手に握る大太刀は、カードの流れの一点に突き立てられた。
「ぎ、ぐあぁぁッ!!」
 絶叫が上がり、カードの流れが揺らぐ。
「くそッ! ―――――間に合えッ!」
 急いで俺は両手を壁につける。
「――同調開始!」
 増大した魔力消費量なんて関係ない。廊下側の壁一面全てを、強化する。
 トランプだけが攻撃を仕掛けるとは思えない。もしあれに意思があるのなら、シャナのコートに防がれる訳がない。だとすると、あれは単なる武器の一つであると考えられる。しかも、思わせ振りにカードの流れには中心点がある。

 刀は振るう際には、峰打ちが出来る。つまり、振っている以上はある程度の威力の加減が出来るという事だ。しかし、突きには峰打ちなんて芸当は存在しない。明確に敵を殺す為の攻撃。しかも、文字通り『必殺』の一撃だ。

 昨日の首玉は、その最期に盛大に爆発した。この世界の敵全てが爆発するとは断言出来ないが、少なくとも爆発する可能性があるのは確かだ。
 シャナはあの一撃で仕留めにかかっている。あれだけ思い切りの良い攻撃を仕掛けているのだから、シャナの身を心配する必要はないだろう。
後ろで、シャナが刺した大太刀を捻り抜く。

 再び振りかぶり、頂点で一息も溜めずに一閃。

「構成材質――補強完了」
 ――――ギリギリ、セーフか。
 強化を終了して、振り返った俺の眼前に広がっていたのは、刃の軌跡に炎が走り、カードに引火する光景だった。
 瞬間、あらゆる音が消える。爆発が起こり、教室の物全てが、炎の濁流に包まれた。
 シャナはその爆風を眼前に受けるが、全く動じない。再び、コートを拡げて俺を防いだ。
 爆風が収まり、コートの壁が取り払われる。間髪入れず、俺は教室の状態を確認した。
 焼け焦げた床はコンクリートの地を覗かせ、窓は基部ごと吹き飛んでいる。
 自分の後方では強化された壁一面はとりあえず無事だ。と言っても、見た感じだと紙一重で防いだって具合だが。しかし出入り口が吹き飛び、教室内の机や椅子が廊下にまで飛ばされていた。
 ―――念の為、強化をして正解だったか。間に合って良かった。
 シャナは爆発を受けたようだが、全くの無傷らしい。軽々と差し上げられた大太刀の切っ先には、何かが引っ掛かっている。
 それは昨日の夕刻、逃げ去った人形だった。
 人形は、肩口から胸まで切り下げられた切っ先を体に埋め、腹には最初の
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