暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
六章 「狩人」
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修復や治癒の魔術が扱えれば、こんな状況なんてサクッと解決出来るのだが。生憎、修復なんて器用な事は出来ないし、治癒は鞘に頼りっぱなしだ。
 その鞘も贋作品な上、契約が途切れた今は以前のような回復力もない。池に埋め込んだ所で大した効果も見込めないだろう。
 全く、何処かに気兼ねなく使える存在の力があれば良いんだが……。
 そんなものがあれば、今頃こんなに悩んでないよな。

 打つ手なし……か。こんな事なら、池の代わりに俺が怪我をしていれば良かったとすら思える。
 俺なら鞘の恩恵を十二分に受けれる上、ある程度ならシャナに治して貰えるからな。
 結局、俺には何も出来ないのか。何が正義の味方だ。新世界に来た所で、俺自身に出来る事なんて何も変わらない。正体も分からない俺の中の宝具だって、正に宝の持ち腐れだ。

 ―――いや、待てよ。

 そうだ。今の俺はミステスだ。確かに正体が分からなければ、宝具自体には何の意味もない。
 だが、器の方はどうだ? ミステスは旅する宝の蔵。つまり、宝具を内蔵したトーチだ。

 つまり、俺自身が奴等の食い残しって事じゃないか!

「なあ、シャナ。奴等の食い残しのトーチさえあれば、池を使わないで済むんだな?」
「それはさっきも言ったでしょ。けどトーチがないじゃない」
「じゃあ、トーチがあれば良いんだな?」
 俺がそう言った所で、シャナが目を細めた。本当に察しが良いな。
「まさか……、お前」
「あぁ、ここに連中が喰い残したトーチがある。コレを使えよ」
 俺は自分を指差す。一時はヒヤッとしたが、これでなんとかなりそうだな。
「お前、それ本気で言ってるの?」
 そう言ったシャナは、何故か怒っているように見えた。

 ……なんでさ?

 別に、俺は何も悪い事してないじゃないか。元はと言えば、何割かは自分で蒔いた種のようなものだし。
 誰もトーチにならずに済むし、万事全て丸く収まってる。皆が幸せになれるじゃないか。
「あのなぁ、冗談でこんな事言う訳ないだろ」
 そんな意味も込めてそう言うと、えらくシャナは投げやりに返してきた。
 まぁ、口で言ってない事なんて、そう簡単に伝わる訳がないよな。言った所で何て言われるか考えたくもないし。
「―――それじゃ、お前を使うわ。これで物も人も直せる。代わりにお前の『燃え尽きるまで残り時間』が目減りするけど」
「それだけで済むなら問題ないんじゃないか?」
 元々、時間が経てば消える身だったんだ。最初から長期戦なんて考えてない。どの様な敵か確認も出来たし、後は出たとこ勝負だろう。
「分からないわね。残された時間をそんな簡単に捨てるなんて」
 別に、簡単に時間を削ってる訳じゃないんだけどな。これでも一応、それなりに危機感は覚えてるつもりだし。
「ま
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