暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
六章 「狩人」
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言うのか。
「それとも、そいつが知り合いだから嫌なの? なら、あんたが壁の外に投げて殆ど無傷ですんだ奴を使うわ」
「そういう問題じゃない!」
 命の重みに優劣なんてないんだ。それが例え善人だろうが悪人だろうが、命の価値はみな等しく平等なんだぞ。
 そういう意味も込めて返事をするが、シャナにはどうでも良い事だったらしい。さっきの話なんて全然関係ない別の問いを返してきた。
「そもそも、なんでそこの壁だけ無事なのよ? さっき燐子を打ち砕いた椅子の脚もそう……。お前は何をしたの?」
「―――そんな事は後で良いだろ」
 少々キツめに、視線も強めてシャナに言う。当たり前だ。それとこれと、どっちが大事だってんだ。
「確かにそうね。それじゃあ、話を戻してあげるわ。そもそも、ソイツが死にかけなのはお前が教室から投げたのが原因じゃないのかしら?」
「―――え? ナッ…、ナンノコトダカワカラナイナ」
 痛い所を突かれた。ガラス片による裂傷や火傷も、元はと言えば俺が退避させた場所で負った傷。加えて、首がかなり危険な状態なのは、明らかに俺が投げたのが原因。
 つまり、池の負傷の原因は殆ど俺の責任である。
 全く、遠坂のうっかりが伝染したか? ここ一番で取り返しのつかないミスじゃないか。
「―――全く。自分のミスが原因なんじゃないの?」
 先程までの逆襲か、どんどん捲し上げてくるシャナ。参ったなこりゃ。
 反論のしようがない。
「ふっ……、フリョノジコダッタンダ。ソレニ、シャナサンナラ、ナントカシテクレルト……」
 口から出る言葉も、どこか片言になっちまってる。あぁ……! 落ち着け俺! 確かに池の負傷の原因は俺だ。だからといって、さっきまでのシャナの弁解が正しい訳がないんだぞ。
 ―――どうする。アイツなら……、あのキザな赤い弓兵どうする? 遠坂ならどう切り抜ける……!
 考えるんだ、俺。これからは一人でなんとかやっていく。そう遠坂に約束したじゃないか!
「私だって万能じゃないの、直すのにはそれ相応の対価が要るわ」
 それ相応の対価―――、つまりは存在の力って事だろう。結局、何かを得るには何か失わなければならないって事か……。だからといって『トーチに代えるから問題ない』なんて、認めるわけにはいかない。
 落ち着いて考えろ。怪我をした池を治したり、周囲を修復するには存在の力が必要だ。通常なら敵が食い残したトーチを使用するらしいが、さっきの戦闘では誰も食べられていない。だからこそ瀕死の池を使うなんて事をシャナは言い出したんだ。
 あまり考えてはいけない事だが、この場にトーチが居てくれれば、シャナは人間を犠牲にする必要はない。
 無論、トーチだからといって、そう易々と犠牲にはしたくないのだが。
 こんな時に魔術の才能がない自分に腹が立つ。俺に
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