”狩人”フリアグネ編
六章 「狩人」
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俺の呟きに、むくれたままのシャナに代わってアラストールが答えてくれた。
「………うむ。紅世の徒の中でもとりわけ強大な力を持つ王の一人だ。我のように、人の内に存在を封じず、故にこの世の存在の力を喰らい続け、両界の均衡を崩す乱獲者。―――つまりは我らの敵だ」
敵、を特に強めて言うアラストール。アイツと話をしていた時のアラストールの口振りからも、相当手強い相手であると、俺の想定の裏付けはとれている。
「あぁ……、それも手強い相手なんだろ? アンタの口振りで簡単に想像出来る」
返事をするまでもない事実に、俺とアラストールは二人して沈黙。恐らく、アラストールもだろうが今後の顛末を考え込んでしまっていた。
数秒の沈黙。蚊帳の外にいたシャナは、とりあえず話を進めてきた。
「まぁ、今後の事を考えるのは後にしても遅くないわ。とりあえず今は封絶内を直すから、そいつを使うわよ」
シャナは顎で、俺の横で倒れている瀕死の池を差した。
確かに既に敵がいない今、結界を維持する必要は何処にもない。だが、それと池となんの関係があるのだろう?
「使うって……、どういう意味だ?」
「そいつの存在の力を使って、封絶内の壊れた箇所を直すって意味よ」
いちいち何なのよ、とシャナ。
そういえば昨日の戦闘でも封絶を解く時に、あれだけ滅茶苦茶になった街をシャナはご丁寧に修復していたな。まぁ、それもそうか。封絶で外界から遮断した空間がボロボロになったまま、元の空間に再接続は出来ないよな。止まった時が動き出した途端、辺り一面が廃墟になっていたなんて危険すぎる。下手をすると破壊された世界を基軸に、周囲も破壊する事でバランスをとる………、なんて星からの補正を受けかねない。
あぁ、その点は大いに賛成だ。だがシャナ。昨日、街を修復する時に何を使った?
「それはつまり………昨日のトーチと同じように、池を使うって事か?」
忘れる筈もない。昨日、シャナの指先に集まったトーチの灯りが街を修復した。そして、そのトーチは完全にこの世から消滅したんだ。
「そうよ。でも、ここには連中の喰い残しのトーチがない。だからその死にかけを使う事にするわ。トーチになる前の人間だから、そいつ1人分でも封絶内を全部直せる。後は残り滓でそいつをトーチにすれば、なんの問題もないでしょ」
池をトーチにする。あっさりとそうシャナは言った。
なんだよそれ。人の命がかかっている話なんだぞ。なんでそんな簡単に言えるんだよ。
全く悪びれた様子もないその態度にカチンときた。
「んな訳あるか馬鹿! 池が……、人が人間からトーチになるんだぞ!」
「仕方ないじゃない。火を燃やすためには薪がいるでしょ? それと同じよ」
薪だって? それが人の命に対する態度なのか。シャナは人の命をそんな風に捉えていると
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