24話:Splatter Days
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清浦刹那は隠れて過ごしていた。
コンプレックスだった小さな身体が役に立ち、そこらへんの隙間に入ればたいていの人をやり過ごすことができた。
運も味方してくれた。
支給品の一つ、鍵開け専用鉄具。
鍵穴があるタイプの鍵ならば、専門的な技能も要らずに容易く開けてしまう短剣。武器としての使用は出来そうにないが、これがあるお陰で刹那は一度危険人物二人に見つからずに済んだ。
なんだったのだろうか、あの獣のような唸り声を上げながら戦っていた着物の女と、それと向かい合っていた針金細工のような男は。
しかし殺し合いが始まってからはや三時間半。
刹那を孤独と恐怖が襲っていた。
なんの力も持たない一般人の刹那に、殺し合いという状況で一人で行動し続けるのは荷が重かった。
「ひっ!?」
かつん、かつんと。
そんなただの足音でも刹那にとっては恐怖の対象だった。
俯きながら歩いていたため、前から来る人影に気が付かなかった。
慌てて逃げる。
元来た道を振り返り、全力で駆け出す。
「待って!」
大きな声がそんな刹那を呼び止める。
その聞き覚えのある声に思わず足を止めた。
「―――世界?」
西園寺世界が、そこにいた。
◆
場所は変わって、とあるファミレス。店名を記した看板にはJoseph'sとある。
二人は静かに再会を喜び合っていた。
「よかった、早めに刹那に会えて」
「‥‥うん」
答えた刹那は、世界が何か自分の知らない事情を抱えていることを悟る。
二人は仮にも親友だ。
「誠や桂さんは、ちょっと今は会いづらくて‥‥」
「なにかあったの?」
刹那は、親友である世界のために色々と奔走していた。
いずれ日本からいなくなる自分だから、その前に世界のために出来ることをやっていた。
何回も、伊藤誠に頼んでいる。世界を選んでくれ、と。桂言葉のことはもう忘れろと。
かくいう刹那も誠に対し以前から好意を持っていたが、世界のために堪えていた。
そんなわけで、世界と誠の関係に何があったのか。
聞き逃すわけにはいかなかった。
「うん、ちょっとね‥‥」
「話して」
「いや、でも刹那にはもう関係無いから」
「関係なくない!」
思わず立ち上がって叫んだ。
親友のことなのに。
関係ないはずがない。
自然と刹那の目に涙が溜まった。その様子を見た世界は、思わず釣られて涙を流す。
「‥‥実はね、人を殺したの」
それから、小さな声で世界は語った。
自分が去ってからの三角関係の顛末と。
伊藤誠のもたらした結末を。
「‥‥‥」
聞き終わった刹那は大きな痛みが走るほど唇をきつく噛み締める。
なんという
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