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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第百八幕 「沈め、水底へ」
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いほどに軽く鋭敏で、指先一つのずれであっという間に車体が傾くじゃじゃ馬。
常に敵の懐に飛び込み、常に敵に攻撃を加え続けなければ自分が衝突して終了するという究極の戦闘状態。
移動速度は電光の如く。但し、御するは至難の業。
剣術の達人である自負があったにも拘らず、少しでも気を抜けばパイロットであるこちらが速度に放り出されかねないほどに暴れ狂う。
更に問題がもう一つ。それがじわじわと心を焦らせる。
(やはり……!!)
天と地の場所さえも見失いそうな暴走した世界の中で、箒は視界の隅に映るホロモニタを見て舌打ちしそうになった。猛烈に揺さぶられる肉体。たとえパイロット保護機能を全開にしてもその体力消費を抑える事は出来ない。加えて言うならば、そんな速度を出し続けては、移動に必要なバリアエネルギーが長時間持つはずがない。
つまり、こんな機能をそう長期間使える訳がない。視界の端に映っていたモニタ表示とは『紫電清霜』モードの強制解除までのリミットカウンターだった。
強制解除までおおよそあと30秒。まだ速度をコントロールしきれていないと言うのに――時間が足りない。
暴風のような加速の中で辛うじて敵に追い縋りながら、箒は絞り出すように叫ぶ。
「セシリア……ッ、ヴァリ……スタは、用意、できたかぁ……ッ!!」
止むことのない方向転換に喘ぎながら絞り出すように発した声に、セシリアが答える。
その手には、銃と呼ぶには余りにも巨大すぎる携行兵器、ヴァリスタが抱えられていた。
「準備は出来ています!ですが、如何なさるおつもりで!?これはとてもではありませんがその速度を狙い撃ちできる代物では……!」
ヴァリスタはその威力故にチャージ時間が長く、その制御にはかなりの機能を集中させなければならない。既にヴァリスタに内蔵されたジェネレータや剥き出しの電磁タービンが唸りを上げて発射準備を始めているが、さしものセシリアもマッハで不規則に移動するような相手をこれでスナイピングするのは不可能に近い。
だが、箒は続く言葉を制した。
「狙わなくて……結構!私が射線上まで……!!」
――カウンター残り20秒。
「持って行けばよいのだからなぁぁぁぁぁッ!!!」
その刹那、漸く加速突進の距離感を掴んだ箒が、とうとうゴーストをその両手で掴んだ。
『!!』
力づくで強引にではあるが、動きが封じられる。丁度レーザー砲が命中しない角度から掴みかかられたことでゴーストが反応。逃げるためにジェットを全力噴射した。ぎしぎしと音を立てて掴んだマニュピレータが外れそうになる。
「こ、の……!大人しくしろぉぉぉぉぉーーーッ!!」
瞬間、爆発した感情に呼応するように紅椿の背部から一対の装甲が射出された。
それは本来ならば今
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