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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十話 包囲網
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ラム侯は全軍にレンテンベルク要塞に戻るように指示を出した。包囲網は崩れた。
クーデターが起きる事は予想出来た事だ。だからミュラー提督を事前にオーディンに送った。間に合わずにクーデターが起きたがミュラー提督を送っている以上彼に鎮圧を任せこちらは敵の殲滅に全力を尽くすべきではなかったか。オーディンは根拠地だ、重要な事は分かるが……、如何も釈然としない。
或いはこれはローエングラム侯の限界なのかもしれない。事に及んで冷徹さが足りない、感情に流され易いという欠点を持つ侯の限界。アムリッツアでも感情に任せてビッテンフェルト提督を叱責した。だとすれば今回の事はやはり運ではなく必然という事か……。
『メックリンガー提督、敵の艦隊はヴァレンシュタイン提督とクレメンツ提督だそうだ』
「……そうか」
分かっていた事だが逃がした獲物は大きい、千載一遇のチャンスを逸した。あと一日、いやローエングラム侯が……。いかんな、これ以上は愚痴ではなく不満になる。敵の艦隊が悠然と去っていく。クレメンツ、もう少しで卿を斃す事が出来たのだがな。残念だがその機会は失われてしまったよ。次に会う時は……。
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