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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十話 包囲網
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たのか? 何も無いとそんな疑問が湧き上がってくる。エーリッヒが感じ過ぎなのではないかと。
「レーダーに反応あり!」
オペレータの声が上がった。敵か?
「二時の方向、仰角三十五度! 二万隻を超えます!」
オペレータの報告が続く。艦橋にどよめきが起こった。
包囲網は有った! エーリッヒの読みが当たった! オフレッサーが唸り声を上げている。二万隻を超える、二個艦隊か。メックリンガー、ケスラーの二人だな……。逃げ切れるだろうか、後ろにはローエングラム侯も居る筈だ。他にもロイエンタール、ビッテンフェルト、ルッツ、ワーレンが追ってきているかもしれない。背中に冷たい汗が流れた。
「こ、これは」
「如何した!」
「敵艦隊はレンテンベルク要塞の方向に移動しています」
オペレータが困惑したような声を上げている。レンテンベルク要塞の方向に移動? どういう事だ? 何故前を塞がない、逃げられてしまうぞ?
エーリッヒが大きく息を吐いた。顔から緊張が薄れている、如何いう事だ?
「エーリッヒ、何故連中は包囲網を崩すんだ?」
「我々を包囲するよりも大事な事が起きたという事さ」
「大事な事? ……そうか、オーディン!」
「クーデターか!」
リューネブルク中将、オフレッサーが声を上げるとまたどよめきが起こった。彼方此方から“クーデター”、“助かった”という声が聞こえる。それを見てエーリッヒが立ち上がった。
「油断するな、まだガイエスブルク要塞に戻ったわけじゃない」
皆が慌てて顔を引き締めた。それを確認してからエーリッヒが指揮官席に座った。
「エーリッヒ、急いでガイエスブルクに戻ろう、メルカッツ総司令官が我々の帰還を待っている筈だ」
「レンテンベルク要塞の攻略か、まさか本当になるとはな」
「楽な戦いじゃない、しかし勝たなければ……」
オフレッサー、リューネブルク中将の言葉にエーリッヒが一つ息を吐いた。
帝国暦 488年 10月 4日 メックリンガー艦隊旗艦 クヴァシル エルネスト・メックリンガー
『意外だったな、こちらに来るとは』
「確かに、包囲されていると気付かなかったのかな」
『それはないだろう。艦隊は随分と下に居る、我々の目を晦まそうと考えたのだと思う』
なるほど、ケスラー提督のいう通りだな。包囲されていると知ってこちらに来たか。
「ルッツ提督達よりも与し易いと思ったかな」
『或いは裏をかこうとしたか』
「一筋縄ではいかんな」
『全くだ』
私が笑うとケスラー提督も笑った。
『それにしても運が良いな。あと一日あれば彼らを殲滅出来た』
「そうだな」
確かにあと一日あれば殲滅出来た。しかし運だけの問題だろうか……。オーディンでクーデターが起きた。それを知ったローエング
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