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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十話 包囲網
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ら間違いなく挟撃されます」

確かに反転は危険だ。ロイエンタール、ビッテンフェルトの二人が居るかどうかは分からない。しかしレンテンベルク要塞に対して背を向けるという事は常に後背を危険に曝すという事だ。ローエングラム侯も後背をガイエスブルク要塞に向けているが貴族達は怯えている、攻撃される危険性は少ない。圧倒的にこちらが不利だ。

「なら横に逃げるしかないな。辺境星域の方向で良いか?」
「ああ、そうしよう。……いや、待て……」
「如何した?」
「逆方向にしよう」
エーリッヒが指示を変えた。辺境星域の方向に向かった方が安全だと思うが……。
「裏をかこうというのか?」
エーリッヒが首を横に振った。

「違う、囲まれたかもしれない。そっちはルッツ、ワーレンを伏せた可能性が有る」
シンとした。俺、リューネブルク中将、オフレッサー、無言で顔を見合わせた。確かにルッツ、ワーレンは辺境星域からレンテンベルク要塞に戻る途中だ。可能性は有る。

「……しかしそうなると逆も待ち伏せが居るのではありませんか?」
「リューネブルク中将の言う通りだ。消去法で行けばメックリンガー、ケスラーの二人が居る事になる、三万は居るぞ」
「兵力は辺境の方が少ない。転進するなら辺境の方が良かろう」
エーリッヒが首を横に振った。

「メックリンガー、ケスラーの二人は常識的な用兵家です。無茶はしないし好まない。だがルッツ、ワーレンは無理が出来る。それにキフォイザーでキルヒアイス提督を死なせてしまった事であの二人は精神的に追い込まれている。死に物狂いでこちらを足止めにかかるでしょう。兵力は少なくても彼らと戦うのは危険です。それにメックリンガー、ケスラーの二人も我々が辺境に向かうと思っているかもしれません。そうであれば逃げられる可能性は高いと思います」

なるほど、と思った。リューネブルク中将、オフレッサーも頷いている。兵力は多くてもメックリンガー、ケスラーの方が包囲は緩いと見たか。
「分かった、直ぐ艦隊に命令を……」
「通信は駄目だ。旗艦先頭、全艦我に続け、各艦復唱せよ。発光命令で出し続けるんだ。それからクレメンツ提督の所に誰か説明する人間を出してくれ」
「わ、分かった」
ひしひしと危機感が迫ってきた。オペレータ達も蒼白になっている。

「艦隊は沈降させながら迂回する、俯角三十度!」
「沈降? 降りるのか?」
問い直すとエーリッヒが頷いた。
「貴族連合軍も政府軍もガイエスブルク要塞とレンテンベルク要塞を結ぶ線上で戦っている事が多い。上手く行けば包囲網を掻い潜れるかもしれない」
「分かった」
エーリッヒがまた肘掛を叩いた。



帝国暦 488年  10月 4日  ロイエンタール艦隊旗艦 トリスタン  オスカー・フォン・ロイエンタール

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